トンニャン#19 悪魔皇太子妃コーラ
※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「コーラの巻」のような意。話の位置は前回の「クビドの巻」の続きです。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。
「コーラ、きみの過去を探ってもいいか?」
「どうするの?」
トンニャンはコーラと手の平を合わせた。
「だめだ。波動がうまく伝わらない。何か、封印されているのかもしれない。チェリー、コーラともう一回キスしてもいいか?」
「なんで、チェリーに聞くんだよ。許可取るのは俺だろう?」
トンニャンはアシュラに構わず、チェリーだけを見ている。
「トンニャンが必要なら、仕方ないわ」
「だから、なんで、チェリーが許すんだよ」
構わずトンニャンがコーラを引き寄せ、唇を合わせた。すると・・・。
「固まってる・・・わよね?」
「あぁ、二人とも固まってる。過去の旅に出かけたのか?」
コーラは湖の近くの森陰にいて、トンニャンと手をつないだまま立っていた。
「これから、コーラの見えなかった過去が見える。
でも、これは過去の記憶の世界だから、今のわたし達が声を出しても聞こえないし、この世界の誰とも話す事は出来ない」
「わかったわ」
コーラが湖に目を移すと、一人の若いエンジェルスが赤ん坊を抱き上げ、湖で産湯につかわせるように、赤ん坊を洗っていた。
階級が一番下のエンジェルスは翼が一枚しかない。
しかし、その生まれたばかりの赤ん坊には、小さな翼が四枚付いていた。
「ブラックエンジェル?あれ、ブラックエンジェルよね、トンニャン」
「どうもそのようだな。まだ、ブラックエンジェルが堕天使ではない頃の事か?」
突然、ざわざわと声が聞こえ、何人かの天使達が現れた。彼らは武装した、法則と秩序を守る、六階級目のパワーズ(能天使)の集団と思われた。
「お許しください。せめて、この子だけでも・・・」
ブラックエンジェルらしきエンジェルスは、天使達を前にして必死に懇願した。
しかし、彼らは聞く耳持たぬ、と言わんばかりに赤ん坊と母親を引き離した。
母親が、引きずられるように連れて行かれると、赤ん坊は四枚の翼を引きちぎられた。
火がついたように泣いている赤ん坊を、天使の一人が雲間から地に落とした。
「あ・・・あれが、私?」
「・・・コーラ、この先は記憶にない世界だが、エンジェルスが気になる。その顛末を見ていこう」
コーラはトンニャンに手を取られて、エンジェルスが連れていかれた方に走った。
エンジェルスは、ズラリ天使達に囲まれ、縛られて詰問されていた。
「あの子供の父親は誰だ?」
彼らの長らしき者が、エンジェルスを指差した。エンジェルスは口をつぐんだままだ。
「相手が天使長の誰か、ということまではわかってるんだ。さあ、本当の事を言え」
続く
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トンニャン#19 悪魔皇太子妃コーラ
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