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ある独白#14

健吾はかがみこんで竜次の肩をつかんだ。

竜次、おまえは俺の友達だよな。

ロボットだって人間だって、俺の友達には

かえわりないよな?」

竜次は答えない。

健吾は立ち上がって握りしめたこぶしを震わせていたが、

無言のまま走り去った。

耀子はため息をつきながら、竜次の横に座った。

「どこか、ヒートしちゃったのかな?」

耀子竜次を調べようと頭にさわろうとすると

竜次が小さくつぶやいた。

「・・・健吾

竜次、覚えてたの?メモリーは消されてなかったのね。

何故返事しなかったの?私の弟として

話すれば良かったじゃない」

「・・・もう、大学へ行っていた頃の葛城竜次ではないから。」

「だからって・・」

耀子は急に立ち上がった。

「あなた、今、自分の意志で話ししなかった?」

竜次は また黙った。

それから竜次は何を言っても答えなかった。

そして、自宅に戻った瞬間、

耀子は怒りにまかせて吐き捨てた。

「もとの『使用人』に戻ってちょうだい。

あなたはRP7型ロボット・リュージなのよ」

それからしばらく、リュージは一言も口をきかず、

ただもくもくと家事をこなしていた。

耀子も怒りがおさまってくると、何も言わないリュージ

つまらなさを感じるようになっていた。

ロボットに感情などあるわけはなく

プログラムされたように動いているはずだった。

それなのに、使用人に戻ったリュージ

あきらかに以前と違っていた。

仕事が忙しく、家に帰らないこともある耀子だったが、

帰っても無言のリュージにはこたえた。

家に帰りずらくなり、しばらく研究室に泊る日々が続いた。

しかし、ここ数ヶ月の楽しかった生活を思い出すと、

相手がロボットだとわかっていながら淋しさを覚えた。

「パパ。私・・・耀子

耀子はついに父にSOSした。

リュージが・・・そうか」

電話口の葛城博士は少し考えている様子だったが

やがて ぽつり と言った。

耀子にとって、リュージは必要なのか?」

ありがとうございました(ToT)

ある独白#14我が永遠の鉄腕アトムに捧ぐ


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かあさん、僕が帰らなくても何も無かったかのように生きていってね

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#15へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n867c8dde7adf

#1最初からは、こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nb5ab031cb177


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