トンニャン#10 悪魔皇太子リオール(クビドと対の天使)
※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「リオールの巻」のような意味。話の位置は、アスタロト公爵の#10の直後のお話です。また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。
「おまえ、赤くなってないか?そんな恥ずかしい事が聞きたいのか?」
「いや、その、つまり・・・」
アシュラがだんだんイライラしてくるのが伝わってきた。
「俺とトンニャンがなんだって?」
「だから、その・・・」
「だから?」
「今日の部屋は、一緒の部屋でいいんだよな?」
「あぁ、もちろんだ」
「ベッドは・・・ダブルでいいのか?」
「おまえはメイドか?」
「え・・・と」
アシュラは本当はリオールの聞きたいことがわかっているのではないか。
それで、わざと知らないふりをしているのではないのか。
リオールの聞きたい事は、極めてプライベートで、本来質問できる内容ではなかった。
「おまえさあ、聞くなら聞く。
聞かないなら、聞かないって決めろよ。
こんな不毛の会話は意味がないぞ」
リオールは、やはり自分の質問は、それを口にしたら、自分を辱めてしまうような気がした。
「アシュラ、もう質問はいいよ。
とにかく妻の古い友人だ。ゆっくりしていってくれ。
何日、いや何ヶ月いてもかまわない」
「は・・・ん。物分りがいいな、おまえは。いい夫だ」
アシュラはリオールの近くに顔を寄せて、声をひそめた。
「おまえ、俺たちのベッドを覗いてみたいんだろう?」
「ば・・・馬鹿言うな。そんな事考えてない。ただ・・・」
「トンニャンも、俺も、女にも男にもなれることが不思議でたまらない。さて、二人はダブルベッドで何を・・・」
「やめろよ。俺が悪かった。もう聞かない。だから、やめてくれ」
リオールはいたたまれなくなった。
一瞬でも、二人の事が気になった自分が恥ずかしくてたまらなかった。
「別にいいさ。隠すつもりもないし。
かといって、大声上げて説明する気もないがな」
「もう行こう。そろそろ二人だけの話も終わりかもしれない。」
リオールが先に立って部屋に入ろうとした。
アシュラはすぐ追いかけると、追い抜き様にリオールの耳元でささやいた。
「何でもありさ。その時の気分でね」
アシュラは振り向いて、ニッと笑った。
「おい、何してるんだ。リオールが来るぞ」
アシュラは先に部屋に入ると、トンニャンとコーラを見て慌てて声を上げた。
「遅いよ。見ちまった」
アシュラが振り返ると、リオールがうつろな目をして立っていた。
「リオール、これは事故だ。
よくあるだろう。つまづいて転んだりする事」
「なんで、アシュラが言い訳してるんだ。
アシュラはこれを見ても、全く嫉妬心を感じないのか」
「嫉妬する理由がないからさ」
トンニャンが、ソファーから体を起こした。
「トンニャン、リオールを刺激するような事は言うな!」
今度はコーラが振り向いた。
「私、何も悪い事なんてしてないわ。
ハイスクールじゃ、女の子同士がちょっとキスしたりなんて、当たり前の事じゃない。
別に特別な関係じゃなくても、友達同士の挨拶みたいなものでしょ。
久しぶりに会った女友達とキスして何が悪いの?」
コーラは、まだ納得してないリオールに向かって、言い切った。
二〇〇六年平成十八年八月三日(木)朝方
オマケ
トンニャンシリーズは、ほんとうに長くて、こんな茶番なお話も多々存在します。過去編のハイスクール時代はかなり長いのですが、これを書いてから、彼女たちって、こういう関係だったのか、と、ふむふむする私でした。
ありがとうございましたm(__)m
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#11 愛の天使クビドへ続く
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