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トンニャン過去編#72 アリス・ジョージャス(原題「ファイヤーバード」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「ファイヤーバードの巻」の次。「アリスの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「こうしてても仕方ない。とにかく行ってみよう」
トムの一声で四人は動き出した。
「アリスの部屋は、西側のはずよ」
 
 *****
 
「チェリー、どうしてここへ?」
アリスの家の前に立つチェリーとルーシー・エイビスに声をかけたのは、ネッドと一緒にやって来たコーラだ。
 
「え?アンとエレンが中に・・・いや、中には・・・」
コーラは家全体に目を凝らす。
「心配だわ。中に入ってみましょうよ」
ルーシーは、双子の姉のエレンが気がかりでしょうがない。
「ルーシー、家に帰って待ってて。簡単に解決する話じゃなくなってきたわ」
「チェリー、急に何を言い出すの?簡単じゃないなら、なおさらよ。エレンを置いて帰れないわ」
 
 
 
「待って!」
四人がその声に振り向くと、トンニャンとトーニが立っていた。声の主はトンニャンだ。トーニは、コーラをチラリとみると、不安そうにアリスの家に目を向けた。
 
「コーラ、この家・・・」
「まずいわ、トンニャン。ここまでとは・・・」
「中には何人いるの?」
「八人」
「八人て?」
チェリーが声を上げる。

「アリス、アリスの両親、家政婦さん」
そこまで言って、コーラはネッドとトーニをチラッと見た。
「アンとエレンと、トムとピエールよ」
ネッドとトーニの顔から血の気が引く。ルーシーも、さらに不安を募らせてゆく。
 
「ここはひとまずコーラ、あなたに」
トンニャンの言葉に黙ってうなずくと、コーラは中に入っていった。それからトンニャンは、おもむろに振り返ると、突然声を上げた。
「私を見て!」
トーニ、ネッド、ルーシーが次々と気を失って倒れる。
「チェリー、まずは救出よ。この家全体が魔性の者のものになっている」
 
*****
 
コーラがアリスの家の中に入ると、中はガランとして人っ子一人見当たらない。まるで空き家のような空間がひろがっている。だが、コーラにはわかっていた。誰がどこにいるのか。
「ここがアリスの部屋ね。」
扉に手をかけ、ゆっくりと開ける。案の定、ベッドに眠っているかのようなアリス、そして周りで倒れているのは、アリスの両親と家政婦。それに、アン、エレン、トム、ピエール。

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#72 アリス・ジョージャス(原題「ファイヤーバード」)

※「魔性の者」「魔性のもの」原作(1970年代頃)には「魔性」としか書いていなくて、名前もないのです。「魔物」くらいにしておけばわかりやすかったのですが、ただの「魔物」だと、コーラもリリスもブラックエンジェルも、「魔物」には違いないのです。たぶん「魔性」という名前のつもりだったんでしょうね。とりあえず「魔性のもの」くらいにしておいて、原作を生かすことにしました。

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次回トンニャン過去編#73 アリス・ジョージャスへ続く
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