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情報と数値で理論武装したのに食の迷子になった私の話
ごはんを食べると血糖値が上がる
揚げ物を食べると太る
野菜は生で食べた方がいい
たんぱく質は健康にも美容にも欠かせない……
食と健康にまつわる情報が多すぎて、結局何を食べたらいいのかわからなくなっていませんか?
私は管理栄養士で、健康と食のプロだと自認していますが、何を食べたらいいか、何が食べたいのか、わからなくなった時期がありました。
それは出産後のことです。
当時の私は母乳育児をやりきることと、妊娠中に増えた体重をすみやかに戻すことをミッションにしていました。
そのために食事で重視していたのが、カロリー計算と5大栄養素のバランス。
そして、我慢しないことです。
カロリーは、日本人の食事摂取基準の授乳期の数値を参考にしていました。
お酒はさすがに我慢しましたが、そのぶんスイーツには制限をかけず、ごはんを減らすことで糖質を調整。
ビタミン、ミネラル、たんぱく質が不足しないように、おかずはしっかり食べていました。
3回の食事でまかなえない部分は、脂質が控えめの間食で補う。
栄養バランス第一で食べるものを決めて、時間になったら食事をして。
1日中頭をフル稼働させて、まるで食事パズルをしているよう。
おかげで、離乳食を終えるまで母乳で走りきれましたし、体重も妊娠前と同じ数字にまで戻れました。
授乳が終わり、体重の不安もなくなると、食事に対しても開放的な気分になりました。
「もう、細かな計算をしたり、組み合わせを考えたりしなくても大丈夫」
「制限をかけずに、好きなものを食べられる」
「ゆっくり食事の時間も取れるかな」
期待が膨らみ、ポジティブな考えが色々と頭に浮かびます。
しかし、いざ料理をしようと思っても、作りたいものが思い浮かばないのです。
外食にしようと思っても、行きたいお店がわからない。
とりあえずお店に入っても、何をオーダーしたらいいかわからない。
そういえば、もうずっとお腹が空いた感じがしない。
炊きたてのごはんの湯気を見ても高揚感がありません。
頭で食事を考え続けた結果、食事の楽しさも、おいしさもよくわからなくなってしまっていたんです。
そしてもう一つ。
なんだか元氣が出ないのです。
子どもと遊んでいる途中で寝落ちしてしまうくらい疲れやすくなり、子どもが保育所でもらってきた風邪はもれなく私ももらい、しかも治るのに2週間近くかかるようになっていました。
知識を詰め込んだ計算上は正しい食事をしていたら体重は維持できているのに、なんだかうまくいかないのです。
もう、何を食べたらいいのか、完全にわからなくなっていました。
そんな食の迷子になっていたときに出会ったのがお米生活です。
当時はまだ、お米生活という言葉はなかったけれど、提唱者の柏原ゆきよ先生がいう、食べ物の選び方、食べ方、食べ物との付き合い方は全てがスッと腹落ちしました。
それまでの私は、自分の体を頑丈な機械かなにかだと思っていて、栄養とエネルギーさえ入れれば、いつも一定の働きをすると思い込んでいたのです。
もちろん、人の体はそんなに単純ではありません。
栄養とエネルギーを何から摂るのか、どうやって摂るのか、どんな環境で摂るのか、どんな感情で摂るのか……
理論や数値は食事の一面でしかない。
食事は「何を」「どれだけ」以外にも大切な要素がたくさんあるのだと、ようやく気付けたのです。
それから、食事をお米中心に切り替えると、少しずつですが体力がつき、風邪もひきづらくなっていきました。
シンプルな献立なので、買い物や調理、片付けの手間が減り、時間にも気持ちにも余裕ができました。
そうすると、少しずつ心も動くようになって、食べる楽しみも戻ってきたのです。
健康や美容において、何を、どれくらい食べるか、というのは大きな要因です。
けれど、どうやって、どんな心持ち(精神状態)で食べるかというのも、心と体に大きく影響します。
食事を頑張っているのにうまくいかない、体質改善やダイエットで迷子になってどうにもならない…… そんなときは、食べ方や心のありように目を向けるのもひとつですよ。
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