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マイ・ブロークン・マリコ

正直あまり自分には刺さらなかった。
というか、自分のための映画ではなかったな。
ネガティブな内容も書いているので、この映画を好きな人は読み進めないで欲しい。

でも、この映画で救われる人がたくさんいる、というのは凄く分かっている。
嫌いな映画じゃないのに好きでもない、そんなモヤモヤを言語化してみたいと思う。

まず初めに、主人公の独り言が多過ぎた。
漫画原作だし、登場人物も限られているから仕方ない部分もある。
でも、その感情って現実だと本当に独り言にするかな?、みたいな嘘臭さがあって感情移入できなかった。
芸人のドッキリ企画なんかでも、隠しカメラの前であんまり独り言が多いと萎えない?

次に、主人公の自己救済に付き合う第三者に同情してしまう。
この映画は主人公の再生の物語だから、主人公の主観で物語が描かれるけど少し身勝手過ぎたかもしれない。
途中、バスから手振られた女子高校生とか怖かったと思うよ。
少し冷たいかもしれないけど、心の救済は自身と寄り添ってくれる人間だけでするべきで、第三者に求めるものではない。
あそこでバスから手は振るべきでなかった。
(描写されなかっただけで2人は言葉を交わしたのかもしれないけど。)

以上2つ、言語化した自分の中のモヤモヤだった。
好きな部分もあった。

まず役者の方々の演技。
永野芽郁さんの表情の豊かさに驚かされた。
それに、主人公のガサツな性格も合わさって、昔観たドラマSPECの戸田恵梨香さんを思い出した。
子役の演技力も感情の抑揚があまりに上手で、25歳の私より人生経験が豊富なんじゃないか、と感じさせられた。

綺麗な話の構成。
上でも書いたが、この映画は主人公の再生の物語だ。
物語の開始直後、テレビニュースで親友の訃報を知った主人公は日常から非日常へと一気に引きずり降ろされ、弔いの冒険を経て日常へと戻ってくる。
一度は自死も考えていた主人公が冒険を経て賃貸の自室に帰ってくる場面、あそこの安心感は心に来るものがあった。

冒険の帰還をきちんと描く映画は好きだ。
簡潔に言うとエピローグがしっかりとしている映画。

現実でも自分は旅行の際、行きの旅路よりも、帰ってきて自室に辿り着いた時の安息が好きだったりする。

物語ラストで描かれた自室での救いのシーン。
人は日々外に出かけて働いたり交流したりするけど、出かける人々にとって部屋に帰るって救いなんだね。

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