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みんなのヴァカンス

感想って、否定的な意見とか、大して思い入れの無い文章とかの方が書きやすい。
自分が純粋に良いと感じた物って、逆にどうやってそれを言語化して伝えたらいいのか困ってしまう。

つまりこの映画に出会った私は、その日の午後を多幸感に包まれながら過ごすこととなった。

フランス、パリで出会った恋人を追いかけ、男3人が1週間のヴァカンスに出かけるというストーリー。
役者はほぼ全員フランスの映画学校の学生らしい。

主人公ら3人の青年

登場人物達は等身大の若者として描かれ、みんなちょっと嫌味なとこがあり、でも優しさを持ち合わせている。

青年達は恋をして、喧嘩をして、別れを経て、ヴァカンスを通し其々がちょっとだけ何かを得る。

特に好きだったのはエドゥアールという青年。
弱気な彼は、上品な服装から分かる様に裕福なおぼっちゃまで、母親の支配から抜け出せずにいる。

エドゥアール

エドゥアールは初めは主人公らとソリが合わず言い争いばかりしているのだけれど、ヴァカンスでの青春を通して友情を深め、彼自身の精神も成長していく。
終盤には友人のために怒り、自らの意思で行動する様になる。
自らの意思でアルバイトを初め、バーの鏡掃除をする彼のラストカット、その目は立派な大人の目になっていた。

目が印象的に撮られた映画だった。
この映画は最後、主人公の親友であるシェリフの表情を映して締め括られる。
シェリフは周囲に気を遣う優しい青年で、他者のために我慢してしまう性格だった。

シェリフと既婚者の女性

そんなシェリフはヴァカンス中、既婚者の女性と親睦を深めていく。
素直になれない彼は彼女と距離を置いたりもするけれど、最後は自身の思いを伝え、心を通わせた2人は一夜を共にする。
朝を迎えベッドに横たわるシェリフ、優しさと静けさを持った彼の目のカットで映画は終わり。


と、自分の気に入ったストーリーを説明して、この映画の良さを1人でも多くに伝えたいと思ったが、やっぱりダメだ、文章力の稚拙さを痛感するに至っただけだった。

自分の好きを人に伝えるってとても難しい。
レコード屋の思わず聴いてみたくなるようなポップ、映画館のポスターの目を引くライト。

文章を仕事にする人ってやっぱり凄い。

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