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2046 4K レストア版

恥ずかしながらこれまでウォン・カーウァイ作品を観たことはなかった。

この映画を観た理由も、何度か訪れたミニシアターが9月末で閉館することを知り、たまたま時間の都合がついたから駆け込んだだけだ。

そもそも3部作の最終章としての作品だそうだが、その予備知識すら無しで観始めたものだから、まあ序盤は退屈だった。

トニー・レオン演じる主人公の女性関係がストーリーの主軸なんだけれど、主人公がモテてモテて、常に余裕があっていけ好かない。
仕事は新聞記事と小説の執筆家と来たもんだから更にいけ好かない。

体だけの関係の女性を複数作り、女性全員に優しい顔を向ける主人公。
行為が終わった後は平気でホテルの自室へと帰っていく。

しかし、そんな主人公だが、作中で2人だけ本気で恋心を抱く女性が現れる。
1人は、日本の会社員と海を跨いで恋をする、自身の執筆活動のアシスタント。
もう1人は、シンガポールで出会った、経歴不明の博打うちの女性。

アシスタントの女性はまったく主人公からの好意に気付くことなく日本に渡ってしまい、博打うちの女性からは駆け落ちを拒まれる。

この2人への恋心からは人間味を感じられて、ストーリー的にも見入る展開だった。

結局男は幼少期から手に入らないおもちゃを欲しがり、大人になってもその性は変わらないんだろう。

話は変わるがこの映画の食事シーンのカットがとても好きだ。
全編通して登場人物は恐らく紹興酒を飲んでいるんだけれど、場面によってその飲み方は様々だ。
余裕を持ってゆったりと飲まれる紹興酒、涙を堪えながら一気に飲まれる紹興酒、煙草を片手に談笑しながら飲まれる紹興酒。

私はそもそも中華・台湾料理の並ぶ円卓が好きで、ジャッキー・チェンの食事シーンだけを延々と観ていたこともある。
丸皿が空になるまでガヤガヤと食事を楽しむ雰囲気が非常に食欲を誘う。

逆に欧米の映画の食事シーンって割と淡々としているというか、駆け込むように食べることが多い気がする。
農耕民族と狩猟民族の違い?(そもそも中華圏って農耕民族??)

食文化と映画の撮り方って実は繋がってたりするんだろうか。

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