ボストン市で生成AIを職員に積極的に使わせるためのガイドラインを作った。この中での注目は、AIで作成した文書である注釈を必ず入れることと、ユーザエクスペリエンスのオンラインコミュニティを作ったことである

ボストン市では、職員が積極的に生成AIを使うように2023年5月23日に生成AIガイドライン(Version1.1)を発表した。このガイドラインはいづれポリシーになるが、それまで職員が使う上での使用例や注意事項を中心にまとめられたものである。内容は個人情報を含む機密情報をプロンプトに入力しないこと。生成AIが作る文章には、不確かな情報が含まれているという前提で必ず真偽をチェックする。人種差別などの表現がないかチェックするなど、ガイドラインとして一般的な項目が多い。
このガイドラインは標準的なものであるが、特に注目したいのが以下の2点である。
1.生成AIが作った文章であることの注釈を必ず入れること(論文などで他の論文を引用する時と同じように)。また同時に使用した生成プログラムの名前とバージョンも必須であること。
確かにこれらは、後で生成AIの有効性や使用方法を検証するのに必要な項目である。
(例)
「この説明は ChatGPT 3.5 によって生成され、Santiago Garces によって編集されました。」
「このテキストは Google Bard を使用して要約されました」

2.生成AIのユーザエクスペリエンスを共有するためのオンラインコミュニティを作ったこと。職員の経験がデータベースとして蓄積される。他の職員への参考情報になるだけでなく、こういったユーザ経験データベースもAIに学習させのは、AIを使えるレベルに育てる有効な方法である。

ちなみに何故ボストン市に注目したのか?それは、ドキュメント映画「ボストン市庁舎」が表現したように、世界で一番市民のための行政サービスをしている市であると思われるからである。市の行政を評価する時に、世界のベストプラクティスをベンチマークするのは最良の方法である。ただし現在の市長は映画撮影時の市長とは別人であるが。