文章にまぐれあたりはないから
「どうして、できるのにやらないの」
いつもは温厚な先輩の声が、あきらかに張っていた。スチール机を挟んで座る私の足元の、つま先がこすれたパンプスが見える。夕方6時。もう帰りたいなと思ったときに呼び出された会議スペース。
先輩が言ってるのは、新入社員研修での私の行動のことだ。1か月で新規案件100万円分を受注すること。けして実現不可能な研修ではない。営業部隊なら、きっとどの会社でもある。
「足りない」を見透かされている。
今日の電話リストを思い浮かべた。アポがとれたのは2