集団の発展から衰退までの大まかな流れ

ある集団ができてから衰退していくまでにはいくつか段階がある。

なお、ここで言う集団は国や社会など大きな枠組みのものもあれば、
例えばビジネスなどにおける中~小規模の企業、
あるいはコミュニティにも適用できます。

自分が集団を構築、運営していくにしても、
自分が所属する集団が今どういう状況かを分析するにしても。

これからお話することは1つの指針になると思いますので、
ぜひ活用してみてもらえればと思います。

では、具体的にどのような段階があるか?

  1. 余裕のない人がある虚構の元に結束し始める

  2. 集団による生産力の向上が前提で全体的に余裕ができはじめる

  3. ある程度の規模まで余裕が広がると個々人が我を主張し始める

  4. 我を押し通せる者とそうでない者の間で格差が生まれる

  5. 格差が広がりすぎると大元となる虚構に亀裂が入る

  6. 亀裂が入ると集団に綻びができはじめ生産力が減少していく

  7. 大元となる虚構の扱いをどのようにするかで衰退か立て直せるかが決まる

まず集団というのは2人だろうと1億人だろうと基本的には、
1人ではあれない、余裕がない人間が生きていくために、
必然的に構築されていくものです。

ここで言う余裕とは物質的な余裕はもちろん精神的な余裕も含まれる。

人間がなぜ社会を構築したのかと言えば1人では生存に必要なもの、
衣食住や医療、自然等の脅威から身を守るためのものを生産できず、
あるいは精神的に充足した状態を実現することができないないため。

それを補完するために何かしらの虚構を元に、
1つの集団としてのあり方を定める。

ちなみに虚構とは実体を持たない精神的なある支柱のこと。

例えば宗教はわかりやすい。

神という絶対存在を精神的に規定して、
その元で1つになる規範を定めるわけです。

もう少し小さな規模で言えば例えば情弱ビジネスとかもそう。

手軽とか元手がほぼ必要なくお金が稼げるみたいな謳い文句に、
ある程度の人が集まって集団となりコメントなどを送り、
それなりの影響力あるコミュニティを形作る。

これは、ようはお金やそれに付随する精神的な余裕がない人達が、
例え怪しくとも手軽に今すぐにでもお金が稼げるという、
未来という虚構を元に1つにまとまるわけですね。

他も同じで余裕がない、満たされない何かがあるから、
必要に迫られて集団が出来上がるのです。

故に、ある集団が1から構築される背景には実質的か精神的か、
何かしら余裕がなくその穴を埋めようとする人間が集まる。

穴を埋めるための虚構を求めるという本質があります。

とは言え虚構が虚構のままだと人を繋ぎ止めておけない、
先に話した情弱ビジネスは大抵の場合1度きり。

詐欺的な商品等を売って終わるということがほとんどなのですが、
それは手軽や元手なしみたいなのが大抵は現実に沿っておらず、
虚構以上のものにならないからですね。

虚構だけでまとまる集団というのは絶対にありえない、
集団が虚構を元に団結し続けるには必ず、
実質的か精神的か両方の何かを生産する力が必要になる。

その生産力でもって余裕を生み出していく必要があるのです。

そして、ある程度の規模まで余裕が広がると個人という概念を取り戻し、
集団内の1人1人が自己主張し始める。

ここまでがある集団が構築され発展していく全盛期だと言える、
何らかの理由で個人としてあれない人達が集団として余裕を取り戻し、
少なからず個人としてのあり方を追求できるようになるのです。

で、ここからは集団の衰退が始まる。

まず個人としてのあり方を追求する、つまりは集団内で我を主張すると、
当然ながら時に他の人間が主張する我と衝突するようになります。

その結果、勝者と敗者が決まる、そこまで明確にならずとも、
解放される者と抑圧されるものが生まれるようになる。

つまり集団内での格差が生まれるのです。

加えて格差が集団としての大元である虚構に亀裂を生じさせ始めると、
個としてあるという意識も相まって集団に貢献する意志が弱まり、
全体としての生産力が徐々に減少していきます。

ここまでくると何も対策なり思考転換なりしない限りは、
徐々に衰退していく一方です。

そのまま自滅するか他集団に外から押しつぶされる、
あるいは集団ごと吸収されることもありますが。

総じて言えるのはある大元の虚構によってまとまっていた集団は、
その虚構を失い終わりを迎えるということです。

なお、格差が起こらないパターンもあるにはあります。

例えば集団の虚構、虚構を管理するトップ層が本当の意味で超人的な場合、
うまく全体をまとめ上げる、あるいは導き役となることで安定する。

しかし、こういう場合トップがいなくなると脆いので、
代替わりすることで大抵は衰退していくことが多いですが。

あるいは虚構の完成度が歴史の積み重ねなどによって強固に裏付けされ、
誰が管理運営しようとも一定の効力を発揮する場合も安定する。

とは言えこのパターンも管理運営するトップ層の質によって、
やはり衰退することも多い。

その代表的で有名な例はやはりキリスト教でしょう。

キリスト教は前身となるユダヤ教の時代から長い時を積み重ね、
虚構としての完成度を高め影響力を伸ばしてきた。

ですが聖職者達の堕落とそれによる横暴や抑圧、支配が顕著になり、
ついには教えを私利私欲のために表立って利用し始めたことで、
宗教革命が起きて一気に影響力が落ち徐々に衰退してきたのですね。

以上、集団の構築から衰退までざっとお話してきました。

何にせよ集団の強度は虚構とその管理者によって変わっていく、
どちらかが欠ければ自滅するし他集団に相対的に劣れば、
何らかの外圧によって衰退していくこともある。

冒頭でお話したように自分が集団を構築する立場であれば、
以上をふまえどの段階にいてどんなことに気をつければいいのか?

思考を深めたり行動指針を定めるのに使えるでしょう。

自分が所属する集団を分析する時もどの段階にいて、
これから先どのようになっていくのか、
ざっくりとであれ把握することができると思います。

ぜひ試してみてもらえればと思います。


では、今回はここまでです。
ありがとうございました。

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