#169 イギリスのおばあちゃんの編み物で温まる町 第二弾
イギリスでは毎年11月の11日、午前11時になると "2 minutes silence" と呼ばれることが国じゅうでなされます。
これは第一次世界大戦が1918年11月11日11時に終結したからです。(日本の戦没者追悼式が8月なのと違う理由はこのためです)
イギリス国民は、第一次世界大戦以降すべてのこの国を守るために戦った方々、命を落とされた戦士の方々への感謝と追悼の意を2分間の黙祷という形で表します。
それが"Remembrance" と呼ばれる時期です。
この11日に一番近い土日に記念式典やパレードなどがロンドンを中心に各地方でも様々に行われます。
この時期、イギリスのいたるところでチャリティー活動の始まる "Poppy Appeal"。街角や、(寒い時期なので)スーパーマケットの入り口にボランティアの方々が小さなポピーの花のブローチを箱に入れて立ちます。
こんな感じ。
お気づきですか?またもイギリスのおばあちゃんたちがやってくださいました!今日は『編み物で温まる町 第二弾』をお送りしたいと思います。
こんなふうに編み物のモチーフになってしまうくらいイギリスの風物詩となっている、街角の募金姿ですが、戦地で実際に戦った高齢の元兵士の方であることも高確率です。車いすや電動カートに乗りながらされている方々もよく見かけます。
1921年から募金活動が始まったというので、100年の歴史のあるチャリティーということになりますね。
国民の善意で集まったお金は、過去の戦争で体に障害の残った兵士や、命を落とされた兵士の遺族へ、現役の兵士の戦場でのトラウマに対してなど多岐に渡るサポートに使われるようです。自らを犠牲にして国を守るために尽くした、そして今も尽くしてくれている兵士たちへの感謝と敬意、その家族の想いはいかなるものかという慈愛が込められています。
こんな編み物作品たちに誘われるように向かいの教会のほうに目をやると、こんなにおおがかりなディスプレイが待っていました。
アーティストが国や自治体から委託され手掛けた素晴らしい作品は毎年話題になります。ですが、これらの作品は教会員や地域のコミュニティーの方々だけで作られたのではないかと想像して、ちょっと胸が温まりました。
そして、チャーチヤードを抜けた商店街にあるチャリティーショップのウインドウディスプレイでは大きな大きな手編みのリースが。
この時期胸に着けるのはポピー一輪ですが、こんなにいろんな編み方ができるのかと、しばし見入ってしまいました。
赤いポピーではないものの、この "Remembrance" に子どもたちにも興味を持ってもらおうとしているかのようなこんな可愛らしいポニーも!
いえいえ、紫には意味があったのです。赤いポピーが戦闘で命を落とした兵士たちを意味するのに対して、紫色のポピーは戦闘で命を落とした動物たちを象徴することを知りました。(これもnoteに載せるからチェックしたことであり、note をやってなかったら知らないままで済ますところでした)
なんでも、第一次世界大戦では800万頭の馬が犠牲になったということです。
後ろ姿のほうが可愛らしい気がしたのでもう一枚撮ってきましたが、このディスプレイを見て「可愛い!」とだけ思っていた自分がちょっと恥ずかしくなります。
去年のクリスマスに私は、町なかでほっこりした光景としておばあちゃんの編み物を話題にしました。
今回の投稿では、ほっこりしたり人の愛情を感じたりしたということを描きたいと思いました。でも私には一般的イギリス人の感情とは裏腹な、この国では人に言えない想いもあるのです。それを掘り起こせばほっこりではいられなくなります。
チャーチヤード(教会の庭)の木の根元に置かれた白いポピーのリース。
「忘れないでいよう‥‥」というこのメッセージ。
このリースに出会ったおかげで、白いポピーが表す意味合いは少し特別なのだと知ることになります。
明日はそのことを書いてみようと思います。
か、書きました!
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