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#107 イギリスのクリスマス ~"Are you ready for Christmas?"の意味とは~




Are you ready for Christmas?


クリスマスまでまだ2週間もある頃に「クリスマスの準備はOK?」って訊いてくる人ってなに? 何をしていればOKなの?
だってクリスマスディナーの食材なら前日に買えばいいんじゃない‥‥?

前回の記事では「プレゼントを全員分買ってラッピングを終わらせたかい?」という意味があったということをお話ししました。



その上で、
親戚が泊りがけで来るのかな?それで部屋の準備?スペアベッドの数は足りるかとか、テーブルの大きさはもてなす人数に十分なのか‥‥
それらを準備することが含まれるかもしれません。

我が家の5人家族用のテーブルでいうと、ゆったり食事できるのは6人まででそれ以上になるとこのテーブルでは無理だね~ということになります。

なぜ詰めて座ってもらいたくないかと言えば、ナイフ&フォークでの食事は肘が張るからです。

日本はその点なんとフレキシブルなのかと思います。お箸での食事はこじんまりできるので、和室に大きな座卓があれば、座布団を敷くだけでお客様の数が増えても対応できてしまうんです。

二年前我が家では、過去最高人数の大人8人が集まったので、急遽、オンラインの「売ります・買います」サイトでラウンジに置く伸長式テーブルを買いました。
IKEAで見てちょうど欲しかったテーブルが化粧合板なのは嫌だ、と夫が言っていたところ、同じデザイン、しかも無垢材のテーブルが1/3の値段で見つかったからです。

椅子はもともと余分にあったからよかったものの、人が二人増えることでダイニング家具を買うという行為は、世界中の人に訊いたなら「滑稽だ」と感じる民族も多かろうと思います。

同時に泊まりのお客さんの予定があれば、通常はベッドが必要で、足りなければ急いで調達するようです。
日本の「押し入れから来客用布団」ってすごく便利だった、と今更ながら思います。

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これは世界中どこに居ても同じことが言えると思いますが、イギリスに来て特に思ったのが、嫁いだ家によって私の人生は大きく左右されていただろうなぁ‥‥と。

私の義母は理由はよく分からないけれど、実・義理ともに兄弟姉妹との交流がありませんでした。皆無とは言わなくても、交信している相手はタスマニアという地球の反対側に居たりします。

夫と出会った頃、私がCousin (いとこ) の話をしたら、「ちょっと待って、Cousinっておじさんかおばさんの子どもってことだよね?」と‥‥

間違ってないけど、そもそもそれを確認しなければならなかった彼に驚愕したのを今でも憶えています。

つまり、夫は自分のいとこという存在をひとりも知らないで育ったのです。

それにひきかえ、私には父・母方合わせ何十人といういとこ達がいます。
家は本家だったので、皆が集まる度に当たり前のような接待‥‥、母が座っているのを見たことがありません。



期せずして、私は結婚当初からそのようなものと無縁でいられたと言わねばなりません。

それどころか、夫の姉妹たちは誰も子どもを持ちませんでした。

イギリス側の家族のなかでは我が家にだけ子どもがいたので、3人の子どもたちは、祖母とふたりの伯母さん・叔母さんのご夫婦たちからの愛情を一心に注いでいただきました。


家にはそれぞれの独特なやり方があると思いますが、親戚が多く「頼って頼られ」という生き方の人たちを見ると、人の距離が近くていいな、と思います。
例えば「ロンドンに行く」なんていう時に、親戚の多い人なら○○叔父さんのところとか、いとこの家に泊めてもらうことも普通にあることでしょう。私たちにはそのようなチョイスがないということです。

このような持ちつ持たれつの親戚関係のないことがちょっと物足りないと感じたこともありました。
とはいえ、夫の家族からは感謝してもしきれないほどの愛情を受けています。



さて、イギリス人がクリスマスに向けて家具まで買い足すのは、それだけ「クリスマスに気合が入る」からに他なりません。

クリスチャンにとっては、クリスマスは「神様による人類救済作戦」のようなありがたいものです。
ひとり子であるイエスさまをこの世に送ってくださった特別な日だからです。
イギリスではクリスマスは家族の絆を確かめ合う時といえるかもしれません。
日本のように恋人同士だけでクリスマスを祝っている人はいません。むしろその日ばかりはそれぞれが自分の親のもとに帰りたくなるのがクリスマスなのです。
(私は日本人なので、親の元に飛んで行きたくなるのは、大晦日から元旦にかけてというふうに時差が発生しています)


なにしろクリスマスは一年で一番期待感の高まる時であり、誰にとっても既に抱えている感情が拡大されるような気がします。幸せな人はもっと幸せに、寂しい人はその寂しさが増長されるように‥‥

特に、大切な人を亡くされた人にとっては、その人と一緒に祝うことのできない寂しさや悲しさを確認させられる日にもなると聞きます。

クリスマスの日にこそ、自分の家族のことを感謝するだけでなく、

紛争地域や食糧難に生きる人たちがいることを、
病気と闘う人が、家族を病気で失う人がどこかにいることを、
同じ町に寒い部屋で過ごす人が、一人で涙する人がいることを、

心に留めていよう。


もっともっと言うならば、
神さまが愛しているあの人やあの人、私はちゃんと許しただろうか‥‥

Am I ready for Christmas? 

私にクリスマスを迎える準備はできている‥‥?




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