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#15 ハウスプラウドって必要?

イギリスに住んでまだ数年間はいかにも新参者くささがぷんぷんしてたせいか、誰かの家に遊びに行くと、まず家じゅうの部屋という部屋を見せられた。

そんなつもりで伺ってないので、ちょっと戸惑う。

こういうのをハウスプラウド(家に誇りを持ってる人)と言って、こちらから頼みもしないのに、まずは家じゅうを案内されることがかなり高い確率で起こる。


それだけならいい。そりゃあ私も他人の住まいには少なからず興味はある。見せてもらう分には文句はない。


ただ、そういう人は、『自分だったら見てもらいたい』無邪気さがあるので、こちらの家に来た時には同じことを言いだされる。

さすがに私達、歳を取ってきたので、相手もそういうことはたやすく言い出さなくなったと思う。でも、若い頃はよく来客から「まずはハウスツアーよね!」と嬉しそうに手を叩いて言われたものだ。


確かに。確かに誰に見られても構わないくらいに、常々きちんとした快適な暮らしをするのが理想だ。みんなが暮らしぶりを見せ合う習慣を真似て、私もそんなハウスプラウド集団の仲間入りをすべきだったのだ‥‥

イギリスから訪れている日本で、顔を見に行った方から、積もる話はあるのに家に上げてもらえなかったことがあった。あれを思ったら、こちらのほうがよほどフレンドリーで素敵なはず。

ただ、やっかいなのは、私の心が『嫌だ』と感じるものになびいていけないということ。

やめてくれ~~~!!

我が家の人間たちは知っている。「ミズカもハウスプラウドでしょ」と姑が言うたびに、曖昧に受け流す私の拳が握られていたことを・・・

私はハウスプラウドが嫌いなんじゃ~~~!


イギリスの主婦で、台所が臭うのは嫌だという理由から家で魚料理はしたくないという人を何人も見てきた。
魚の『新鮮』の概念が日本とまず違うので、買ってきた魚を調理したら本当に臭う。これはウソではない (悲しい😢)

でも、こんな『家』=入れ物が命だなんて考え、私は嫌だ。肉を焼けば煙は出るし、フライをすれば油は飛び散る。それができないほどきれいなキッチンを愛するなんて、そんなのがハウスプラウドならくそくらえだ、と言いたい。

ハウスプラウドでない私は、魚をどうしたら美味しく食べられるか、それしか考えてない。例えばしっかり下味を付け、粉を振り、油で揚げて、あんかけにしたソースをかける‥‥ そんなことをしていると、時々どうして日本の時みたいに塩して焼いて終わりにならないのか、とは思う。


主婦が魚だけ料理しないなら、まだ仕方ないと思わなくもない。。。でもハウスプラウド過ぎて、自分のキッチンでは極力料理をしないというひとも実際いるのだ。

そうそう、うちの夫だって家で私にやらせてくれないことがある。私がいくら湯気の出る『鍋』をテーブルで囲みたくても、ホットプレートでみんなで餃子を焼きたくても、換気扇の下で料理してくれと言う。

イギリス人のハウスプラウド、ほんまに不要。


ハウスプラウドならもちろんディーティルにこだわる。

例えば一冊の本を選ぶにも、『Coffee table book』と呼ばれるものだけをわざわざセンターテーブルに (計算しつつ) 無造作に置いたりする。もともとは訪問客がちょっと手に取ってパラパラと楽しむためのものだが、見た目重視だ。雑誌にも『格付け』があって、インテリアに気遣う人はそこに『在る』だけでコーディネートの一部になる厚みのある美しい雑誌しか置かない。

それはそれは素敵なキッチンというのがある。扉という扉、引き出しという引き出しはすべて統一感のあるシステムキッチンだから、目に見える場所に変なものは存在できない。

私だってそんな気持ちはわかるし、トースターやケトルからナイフの柄までカラーコーディネートしたい気持ちもそりゃあわかる。

でもあるんだって。そこあそこに食べきれてない物のパッケージや、収納からはみ出したサラダスピナーが。我が家で言えば2台の炊飯器と精米機。こんな電圧の異なる日本製品は、使うために大きな変圧器も必要‥‥こんなものが毎日稼働してて、すっきりとしたミニマリストキッチンなんてど~すりゃいいの? 

洗練された機能美の追求もいいけど、そんなところで料理ほんとに楽しめるのかい?って、どうしても言いたくなる。


ちょっと負け惜しみなんだけど‥‥ だってまとまりのない我が家を見ると


揺れる私のこころ‥‥


『っていうか、料理しないんなら、いっそキッチンとっぱらったら、もっとミニマリストなんじゃ‥‥』 

って気がつきましたけど、私(笑)


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