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#188 息子の仕事と、ジンジャーブレッドマンの日


PCの日付を見て、明日はもう『ひな祭り』なのだ、と気づきちょっと朦朧もうろうとしている。

日本から離れていると、日常で目に入るものが違うので、季節のお祝い事や行事など、終わってから気づくこともよくある。前日に気づいただけ、まだましということか‥‥
日本では、出歩けば2月ごろからお雛さまを目にしていたから、日々心の準備ができていったのだと、今更ながら思う。


家で同居中の息子が、「明日は世界ジンジャーブレッドマンDAYらしいから、ジンジャーブレッドマンのお話の登場人物に扮装して出勤するらしいよ」と昨日から言っていた。

Gingerbread manというのは粉にした生姜を混ぜ込んだ生地で焼くクッキーを人の形に型抜きしたものだ。

このお話には、家から逃げ出したジンジャーブレッドマンを取り戻そうと追いかける人たちや、食べようと追いかける動物たちがいろいろ登場する。

今朝になって、
「ほら、クリスマスにお母さんが作ったサンタクロースのあごひげがあったよね。あれ出せる?」と息子。

それはクリスマス時期にしか出てこない箱に入って、屋根裏で眠っているよ。無理無理。
代わりに「では、おばあちゃんで!」と、私の巻きスカートとエプロンを渡そうとしたら、即、却下される。
おばあちゃん役は既にいるらしい。(いや、何人いたってかまわないではないか‥‥)

結局、自分のネパール製の民芸風なジャケットを着て、夫からおじいちゃん風ハンチング帽を借りて、出勤する様子だ。私がクリスマスツリー制作用にとってある流木りゅうぼくのいちばん長いのまで自転車に括りつけている。
ジンジャーブレッドマンのおじいちゃんは羊飼いだったのかい‥‥?



この息子のことを何度かnoteにも書いてきた。
noteを最近始められた方もいらっしゃるようなので、よろしければ読んでみてください。


この息子は我が家の末っ子である。

2021年に大学へ入学するという代わりに、単身日本へ旅立つことを選んだ。
コロナ渦のリモート授業で、大学教員の数も削減され、楽しいキャンパスライフなど楽しめようもない大学に、急いで入る意義を感じなかったというのもある。
結果、外国人がめっきり居なくなって英語を話す機会も少なかった日本で、日本語にまみれたのが功を奏したのだろう、戻ってきた時の日本語の上達には目を見張った。

若い時の旅で広がる視野は計り知れない。

一年半過ごした日本から戻ってからの息子は、若者特有?に『頑張っていない風』でありながら、すべて自発的にやるようになった。

最後に、半年以上住んだ沖縄の離島で、水難救助の資格を取りSUPとスノーケルのツアーコンダクターをしていた。
そのせいかなんなのか、こちらを出た時に丸刈りにした髪を一度も切ることなく、日焼けも相まって(カールが強いので)ターザンのような様相だ。
せっかくおだんご頭のおばあちゃんをやれたかもしれないのに‥‥


なぜ息子が今日、職場にジンジャーブレッドマンのお話で現れることになったのか、と不思議に思われる方もいらっしゃるだろう。

それは、彼が特別支援学校で働いているからだ。去年10月にこちらに戻り、クリスマス前には既にこの仕事に就いていた。
イギリスの学校年度は7月の半ばで終わり、新年度は9月から始まる。

シーズンに合わせてひと夏沖縄に戻ることも考えたようだが、日本での給料はまるまる往復の飛行機代で消えてしまう。
それでもいいじゃないか、楽しいことを選べ、と推したのは母の私。ミーハーに聞こえるかもしれないが、この支援員の仕事の大変さは、同じ学校で働いていた自分も知っているからだ。

だが息子は大学でお金がかかるのだからと、家から通えるこの仕事を年度末の7月まで続けることを選んだ。父親の推す賢明さに軍配があがったというわけだ。家にお金も入れてくれる。
そして今は車の運転免許を取るためにレッスン*を受けている。


*イギリスには自動車学校はなく、基本独学で筆記試験にまず合格しなければならない。その後、免許保持者が横に乗っていれば、どんな車でもLearners (学び中)である 『 L 』プレートを付け、路上で運転することができる。
多くの場合は、個人でやっているドライビングインストラクターに予約を入れて一回1時間半、£50(7,500円ほど)のレッスンを受け、インストラクターが大丈夫と思った時点で試験に挑む。


私は18歳で家を離れてからは、もう一度親と暮らすことはなかった。

そういえば母と台所に立ち、料理を覚えたということもほどんどなかったと思う。
だから、大人になった息子と一緒に夕飯でワインが飲めたり、時々スーパーで買い物したらスッと代金を払ってくれたり、ああ成長したなぁと嬉しくなる。
息子がいないと、夫に呼ばれストーブの薪を庭から運ぶのに駆り出されるのだ。男の子は力があるので、世界のどこに行っても力仕事で重宝ちょうほうされる。
うちの息子は料理も上手いので、あるゲストハウスの料理のできないオーナーさんが「行かないでくれ~」と懇願くださったらしい(笑)

今朝家を出た息子の自転車の後ろ姿を見送りながら、そんなことをつらつらと思い、とりとめもないことを書いた。


なんと肝心のジンジャーブレッドマンDAYのことだが、

2023 Tuesday, November 21stNational Gingerbread Day

11月21日‥‥

なんですと~⁉


学校あげての行事だったのか、担任の先生の思いつきだったのか、
とにかく今ごろ、息子は子どもたちとジンジャーブレッドクッキーを焼いたり食べたり、お話を演じたり‥‥
そんなことをして
髪をひっぱられたり、物を投げられたりして、子どもたちの中で奮闘しているのだろう‥‥



《投稿後記》
もう皆さん!今日はやっぱり何かの日だったんですね。
『World book day』でした。
同じく特別支援学校勤めの夫も帰宅して教えてくれました。
そういえば私も、毎年なに着ていこう?と悩んだものです。どこの学校もハリーポッターやらダルメシアンやら縞々シャツのウォーリーたちが登校するので、町中をそういう子どもたちが歩いているのが、本のなかのキャラクターになれる日、ワールドブックDAYでありました。

息子よ、君の説明に混乱させてもらったよ (✽ ゚д゚ ✽)



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