【小説】奔波の先に ~聞多と俊輔~#19
策動(4) 自分の部屋に籠もっていた聞多は、大の字になって転がっていた。こんなことで本当に意見は、上に通じているのだろうか。何が正解かもわからないまま、大袈裟にもできず、内密にすべきことを、関係者と思える人たちに話をしている。これで行ければよいが、行けなかったらどうなる。
攘夷、条約の打破に、心血を注いでいる同士たちを裏切ることに、ならなければ良いか。
「あー考えが回っていくのう」
声に出してみた。言葉も宙に舞って消え去ってしまう。
引き止めるものはあるのかないのか。