愛を感じたリメイク版「フルーツバスケット」
期待感でいっぱいだったリメイク版「フルーツバスケット」、1話が本当にすばらしかった。素敵な作品にしてくれてありがとうございます。
リメイク版フルバのすごさはこの5つだと思います。
・空気が澄んでることまで伝わる世界観
・登場人物たちの所作が美しい
・イメージ通りの声優陣
・音楽が良い
・しっとり系アニメなのにテンポが良い
空気が澄んでることまで伝わる世界観
全体的に絵がきれいです。
自然光の表現と背景が繊細で美しくて、子供のころに触れた太陽のにおいがする布団とか、休日に散歩したときの爽やかさとかを思い出すようでした。
作者の意向で、原作に寄せないキャラデザインになっていますが、時代に合っているというか、これから初めてフルバに出会う人にとって違和感を抱かれない画風になっている。それでいて、大きく原作から離れていない、そのバランスが素晴らしいです。
キービジュアルを観たときに、フルバを愛してる人が作っていると感じることができました。
登場人物たちの所作が美しい
透くんたちが動いてる…!と素直に感動しましたが、その所作がなめらかでみとれてしまいました。
「住めば都、住めば都です…っ」と掃除するところとか、由希のファンクラブ「プリンス・ユキ」が透くんにプリ・ユキの決まりごとを説明したあとの舞うところとか、短いそのひとつひとつの所作に、キャラクターの個性が垣間見える、その見せ方が美しいなと思いました。
イメージ通りの声優陣
ピッタリでした。そして全員キャラクターに憑依していて、沢城みゆきさんの今日子さんは理想のお母さんだし、中村悠一さんのぐれさんは、優しさの中に闇が垣間見えて、慊人と会話するシーンが楽しみでなりません。
透くんは透明感があるけど芯があって、寝落ちする寸前の話し方とか難しいと思うんですよ。力が抜ける声を、力を抜かずに話さないといけないから。そういうときの声の出し方というか息の使い方が上手いと感じました。ラストシーンの「??」の声が最高で笑いました。
1個だけネガティブな感想があるとすれば、「やっと笑い終わったの?」の声はもうちょっと音量小さくてもよかった気がします。
でも、フキダシ外のセリフまで喋ってくれるところにも愛を感じます。岸本卓さんに感謝。
(この方、「銀魂」「ジョーカー・ゲーム」なども書いてるんですね…!)
音楽が良い
「由希くんは、猫が嫌いなんですか?」と透くんに聞かれたあとの、振り向く由希くんの姿と、そこで流れる音楽が、とても印象的でした。
彼の美しさと冷たさと寂しさが凝縮されていたように感じます。
エンディングテーマもビッケブランカですよ。けもなれの。
この曲はきっと、今後フルバのキャラクターたちの過去に触れた後の心に沁みそう…。穏やかな寝顔の時点でぐっときてるし、最後の由希がみる透くんの後ろ姿が、原作既読組としてはじーんときます。
しっとり系アニメなのにテンポが良い
「ゆるキャン△」的な癒し系しっとりアニメ(今は)って、飽きさせない工夫をするのが難しいと思うんです。テンポ感を出しすぎると世界観が壊れてしまうし、ゆったりしすぎると退屈になってしまう。
でも、次々とストーリーが進んでいくのに、速いと感じさせないし、流れがとても自然だと感じました。
余談ですが、私は作業BGMにアニメを流すことがあります。当たり前ですが、アニメは何かをしながら見るものではないので(笑)結局テレビのほうを向いて、全編見てしまうことも多々あります。掃除中に漫画を読んじゃうみたいなやつですね。
BGMになりつつ作業中のテンションを上げてくれるのは「ゆるキャン△」と「ポプテピピック」くらいだったのですが、フルバもそこに仲間入りしました。
監督はきっと愛のある人だと信じています
監督は井端義秀さん。ここには書きませんが、過去に悲しい経験をされています。そのときの文章を読む限り、彼は人として間違ったことを言っていない。そういう人がああいう目に合うことは、この社会では多々あることとは知りつつも、やはりおかしいと感じます(NGT48の事件も然り)。
作品を愛して、アニメを愛している人が、自由に表現できる社会になってほしい。評価されてほしい。
数年前、アニメ業界のすみっこにいたとき、とある声優さんがアニメのプロデューサーに「ゴハンに連れて行って」とねだっていて、その後そのプロデューサーのアニメの主役になったときは、恐ろしい世界だと思いました。
そういうことが少しずつでいいから、減っていったらいいなと願わずにはいられません。
▼アニメ「フルーツバスケット」公式サイト
https://fruba.jp/
▼写真素材はこちらでお借りしました(慊人が見る景色のイメージ)
https://unsplash.com/
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