障がい者になった日
申請していた障害者手帳が届いた。
これで色々な支援が受けやすくなる。
と、簡単には割り切れない。
良くも悪くも「障害者」という括りに入ったんだなあとシミジミする。
差別するつもりは無いけれど、自分自身がそうなるとは思ってもみなかったので、まだ何か不思議。変な感じ。
え?ドッキリとかじゃないんだよね?という感覚。
いや、もしかしたら小さな差別意識はあったのかも。
え?私が障害者?そんな風に見える?みたいな。
カフカの『変身』を思い出す。
ある日の朝、目が覚めると毒虫になっていたグレゴール=ザムザ。同じ家にいる家族とは言葉で通じることもできなくなる。毒虫姿のグレゴールを見て、恐怖を震える家族。良かれと思っってとった行動が仇となり、グレーゴルは心身ともに消耗していく。家族の方もグレーゴルの存在によって疲弊していく。
あの悲しい物語だ。
自分では昨日(手帳を持つ前)の私も明日(手帳を持った後)の私も似たようなものだけれど、他人からみればサラリーマンと毒虫くらい違うんだろう。
というか、そういうものとして扱われるんだろう。
新聞に社会福祉法人の人がコメントを寄せていた。
「障害は、障害のある人に対する差別的態度や生活を阻害する社会環境のような障害者と障害のない者との平等を妨げるものによって生ずる。障害者というものが存在する訳ではない」
「平等に社会参加ができないようにしている社会によって作られたもの。障害は社会の側にある」
少し救われる気がするけれど、所詮は理想論という空虚な気持ちにもなる。
結局、私は手帳を手にした途端、
自分が毒虫になってしまったのではないかと泣きながら震えているのだ。
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