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里見香奈の歩む道は――連載「棋士、AI、その他の話」第11回

 風前の灯火だった。相手の穴熊はほぼ手付かずなのに対して自陣は玉が露出している。手番も相手に渡っている。更に、相手には30分も残り時間がある。劣勢の里見は受け続ける。持ち銀を投入し、抵抗を重ねる。徹底的に受けるうち、訪れた一瞬のチャンス。里見は銀を相手陣に打ち込んだ。それに対して打たれた歩が、相手の敗着になった。
 2022年5月6日棋王戦予選準決勝、対冨田誠也四段戦。里見は終盤の逆転にて勝利を収めた。決勝の相手は古森悠太五段。それに勝利すると、女性初の棋戦本戦進出が決まる。更に、もう一つの大きな資格もかかっていた。

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