20120424 彫駒

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こちらは20120420盛上駒とは異なり、「彫駒」(ほりごま)です。盛上駒は「彫って、埋めて、盛る」ことで作られましたが、彫駒は字の部分を彫ったあとに彫った面を漆で塗って仕上げます(というのが、正しい表現かはわかりませんが)。

これは高校3年生のときに、全国大会が駒の産地として有名な山形県天童市で開かれたときに買った駒です。(※この大会は「文化部のインターハイ」と言われる全国高校総合文化祭の将棋部門として開催されていて、毎年違う場所で開催されるけどこの年はたまたま山形県だった) 高校生のお小遣いで奮発すれば買える範囲の額です。
今見ると、機械彫り(職人の手作業じゃなくて機械で彫る)と見受けられ、漆の塗り方も甘いし、そもそも本物の漆かどうかも疑わしいところです。

手作業で作る場合、彫駒は基本ですが難しい、という印象です。断面図ではV字型になる彫面は、Vの底が綺麗な直線・曲線を描いていないと仕上がりがとても醜くなります。彫るだけなら体験したことがありますが、面もギザギザ、線もギザギザ。やすりでごまかせるようなところではありませんから、彫る際にきれいにしないといけませんでした。

彫った面を漆で埋めたのが「彫埋駒」(ほりうめごま)、それからさらに漆を盛るのが「盛上駒」(もりあげごま)ですが、彫埋と盛上は完成品を見ると彫ってあることに気づかないので、ぱっと見は彫駒がもっとも手が込んでいるように見えます。単発のこども将棋教室に盛上駒・彫埋駒・彫駒の3種類を持っていって「値段当てクイズ」をすることがありますが、彫駒が一番高いと思う誤答が、付き添いの親御さんでも多くあります。

天童市は駒の産地として知られていますが、昔から工程ごとの分業制がとりいれられていたこともあり、意外にもお手頃な量産品の駒が手に入りやすいです。(もちろん、プラスチック駒やおもちゃの駒のほうが安いですが)

駒は他にも「書体」(しょたい。フォント)や作者によって個性が出ます。ぜひひとつひとつを見比べてみてください。

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