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テキストコミュニケーションができないおじさんたち

コロナの影響で、一気にリモートワークが進み、もはやこの新しい働き方に疑問を持つ人はいなくなった。

思えば、今から8年前の27歳のとき、「リモートワークをさせてほしい。毎日とは言わないけど、たとえば7〜8月の2ヶ月に限る形でも良い。」と当時、勤めていた会社に懇願したが、却下された。

これがキッカケで6年お世話になった会社を辞めて、フィリピンへふらっと2年間も住むことになるのだから、人間何が起こるかわからない。

日本という”超・前例踏襲型社会”において、リモートワークがここまで浸透したことは、コロナという特殊事情があってこそ達成しえたことだな、とひしひしと思う。

個人的にはコロナのおかげで働き方改革がおきて、副業から始めた事業が大きく伸ばせる要因となったので、かなり感謝している。

そんな中、オフィス出社への回帰を進める会社も珍しくない。

有名な会社では米Googleや米IBM、米yahoo!などが話題に上がっている。アメリカと日本の”働くこと”に対する意識の差もあるので、一概にアメリカが出社に戻しているから、日本も出社に戻そう!とう議論はかなり強引な印象である。

勝手ではあるが、日本が脱リモートワークになる原因はひとつしかなく、「テキストコミュニケーションができないおじさんたちのせい」になるだろうなとふわっと考えていたことの解像度あげてみた。

テキストコミュニケーションができないおじさんの特徴

  • 予告ナシの突然の電話

  • タスクの依頼が雑

  • 会話の抽象度が高い

    みなさんの周りにこんなおじさんはいないでしょうか?私の場合、サラリーマンとして勤めている会社は、平均年齢30歳と若い人たちが多いので、このようなおじさんはいない。

    だがしかし、自身の会社では違う。元請けさんもクライアントさんも、下請けさんもおじさんだらけである。日本の社会はおじさんで構築されているのか?と思うくらい、おじさんしかいない。

彼らの問題点


突然に電話をしてくるおじさんたちの会話のほとんどは「テキストで送付してもらえれば、解決する緊急度の低い用事」である。

「なぜ、それを今電話してきた?」みたいな内容が99%である。

そして電話をした内容を議事録に起こすのは、いつも急に電話を受けたこちらの仕事になる。

目の前にある、すぐに対応しないといけないタスクがあるのに、議事録を作るタスクを優先しないといけない。

なぜなら

  • 事前のアジェンダ送付がないので、議事録を取りながら電話ができない。

  • 内容の抽象度が高く、そもそも立項するところから始まる


背景、課題、スコープ内/外、タスクの洗い出し、納期の設定などを記憶と断片的なメモのみで、議事録にする必要がある。

しかし、脳みそのHDDが5MBしかない私の脳では、すぐに吹き去ってゆく儚い記憶である。

結果、目の前のタスクを中断し、急な電話をしてきたおじさんの電話を議事録に起こすのだ。

タチが悪い。電話の内容すらも忘れるおじさんたち

実は初めのころ、「急に電話してきた人が、内容をとりまとめて記録に残すのが筋だろう」と考えていたので、議事録におこすことはしなかった。

そうなるとどうなるか。彼らは電話で合意した内容を忘れているのだ。

途中で思い出したとしても、「そんなつもりではなかった。」などと言い出す。

合意した内容でプロジェクトのスコープを変更し、進行しているのに、なんという自分勝手なおじさんたちであるか。

こんなことが多く発生したわたしは、しぶしぶ議事録を取るようになるのであった。

リモートワーク=非同期の働き方


“リモートワーク”と”オフィスで働くこと”で大きく異なるのは「非同期状態が続くこと」である。

非同期状態の事例をあげると

  • これってなんだっけ?があったときに、目の前のスタッフに声をかけられない状態

  • アウトプットの定義を揃えるために、フラッとスタッフに会いに行き確かめられない状態

  • 忙しそうなのか、暇そうなのか?が察知できない状態


共通して言えるのは、フラッと口頭で「こうだったよね?」と頻繁に確認できないことである。

そんな非同期状態において、生産性高く働くことはただ一つで「テキストコミュニケーションの精度をあげる」ことしかない。

おじさんたちに突きつる「予告のない電話を禁止する」


あまりにも身勝手な電話コミュニケーションは、私の生産性を下げるだけでなく、プロジェクト進行すらも危うくさせる。

そこで、”電話をする前に、議題を立項して事前に送付すること”をルール化し、急な電話をブロックするようにした。

しかし、これまで電話や対面でのコミュニケーションをメインとしてきたおじさんたちは、自分の口語をテキストに起こせないのである。

わかりやすく、夜ご飯で考えてみよう

今日の夜ご飯は、ちゃんこ鍋にするって言ってたよね。でもさ、今Twitterでみたら、白菜がめちゃくちゃ高騰しているんだって。だから、ちゃんこ鍋は厳しいかもね。

これが電話で行われると、「なるほどじゃあ、スパゲッティに変更する?」というような会話になるわけだ。

しかし、これがテキストコミュニケーションであった場合、口語での文章はかなり分かりづらいし、次のアクションが不明である。

多くのプロジェクト進行において活用されるのは、”1つのタスクに1つのチケットを作成する。”という方法。

さきほどのちゃんこ鍋の件をチケットに起こすとこうなる

  • 目的や達成したいこと

    • 本日の晩御飯である、ちゃんこ鍋を別のメニューに変更する

  • 背景

    • 白菜の価格高騰により、当初の予算からX%足がでることになった

    • 本日、絶対にちゃんこ鍋を実行する理由はなく、参加メンバーの合意で献立を変更できるため、予算におさまる献立に変更したい

  • 予算

    • 2,000円1/人

  • スコープ外

    • 夕食の方法を変更すること、外食や宅配などの夕食方法は変更しない

  • 調査内容

    • 白菜1/2 800円 (Twitter調べ)

  • タスクの完了条件

    • 本日の晩御飯メニューが確定し、スーパーで買う食材が確定していること

これでアホでもタスクが完了できるようになる。

電話コミュニケーションの場合、「白菜がめちゃくちゃ高騰しているんだってー」以降は、受話者が「ではこうしましょうか?」と提案する流れにできる。なので、彼らは基本的に、課題が何であり、解決するためには何が必要であるか?を頭で整理せずにコミュニケーションを取ることができる。

誰かに言えば、解決してくれる。
優しい人が代わりに彼らのタスクを吸収できていたのが、今ままでの「出社する」という働き方なのです。

おじさんたちが出社を好む理由はほとんどの場合はこれ

これまで、うちの上司は出社が絶対で、リモートは許してくれない。会社はいいって言っているのに、上司がダメって言っている。みたいなことはよく聞いた。

若い世代から言わせると「なんでそんなに出社したいの?」と思っていたが、彼らにとっては、リモートワークのほうが、仕事量が増えてしんどいのだ。

対面で、ちょびっと背景を伝えたら、あとは動かしてくれる部下が目の前にいたほうが都合が良い。

部下に依頼をするにあたり、立項してテキスト化する能力がないのである。

このような状態が続くとどうなるか、あたりまえだが「生産性が下がる」結果になる。

そしてたどり着く答えは「やっぱりリモートはダメだったよね。対面でコミュニケーションを取らないと、プロジェクトが進行しないね」という、最悪の結果になる。

リモートワーク環境を守るために

リモートワークにおける最大の利点は「ルーティンタスクが減る」ことにある

  • 出社にふさわしい服装の準備

  • お化粧

  • ヘアセット

  • 通勤

一度あげてしまった生活レベルを下げることは本当に難しい。この環境を守るためにできることは3つしかない。

  1. おじさんたちを教育する

  2. テキストコミュニケーションがとれるおじさんたちがいる会社に転職する

  3. おじさんがいない会社に転職する

1は労力がかかるし、教育し終わる前に、リモートワークがなくなる可能性がある。加えて、そのようなおじさん全員を教育するのは不可能に近い。

2は自分自身が優秀であることが条件になるが、大手の人材レベルが高い会社にいけば良い。

3は比較的若い会社を狙うか、IT系を狙うのが良い。

これからは売り手が優位な転職市場になることが予想されるが、フルリモートの会社は優秀な人間しか入社できなくなる未来が予想される。

今は、数年前のコンサルとしては未熟であるのに、コンサルティング会社に入社できたボーナスタイムみたいなものであるので、このチャンスを逃さず、身を置く環境を見極めたいところである。

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