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命を繋がりを強く感じた『リラの花咲くけものみち』

北の大地で獣医師を目指す、といえば古くは『動物のお医者さん』

でもって最近は『銀の匙』。とそれぞれに夢中になって読みました。あ、銀の匙は酪農の話だからちょっと違うか…


藤岡陽子さんご自身が看護婦なので、彼女の小説には様々な形での命との向き合いが出てきます。今回は、口をきくことが出来ない動物たちの命を扱った小説だったということで、動物好きにはたまらない小説になっていました。もうね、誕生も、死も、それに向かって懸命に努力する人間たちもどれも尊く愛おしい。
ここまでの「命」を描くため、臨場感を失わせないように丁寧な取材をしてきたのだろうということも強く感じました。綺麗事だけでない動物の命の現実が描かれています。
主人公は、幼い頃母の死を経験し、その後ネグレクトされ…という過酷な少女時代を歩んできます。逃げていた頃、誰かに守られていた時代、それらを経て、命を守る側になったとき、覚悟が彼女を大きく成長させていきます。命を繋がりを強く感じた作品でした。動物好きの方々はハンカチの用意も忘れずに。

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