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ため息俳句 お蚕さま

中之条ビエンナーレは中之条町を5つのエリアに分け55会場で開催されている。そのひとつ六合くに村エリアの赤岩地区も会場となっている。
到着したのが午後三時を回っていたので、帰路の所要時間を考えるとそうゆっくりと観て歩くことが出来なかったのだが、作品は作品で面白かったのだが、・・・・。

この赤岩地区は、江戸時代から昭和へかけて養蚕が盛んに行われていて、その養蚕農家の建物群が国の重要建造物保存地区に指定されていた、それを始めて知ったのだった。
この地区内に作品が点在していたのだが、その一つの修験の祈祷がかつては行われていたという護摩壇のある小さなお堂の後を利用したインスタレーションを観て、細い坂道を降り始めると、旧稚蚕飼育所という建物があって、そこで蚕が飼われているのを自由に見学させてくれていた。

自分は、これほどの多くの蚕の幼虫を見るのははじめであったが、妻にとってはなつかしいものであった。妻の実家はまさしく養蚕農家で、現金収入に直結するお蚕様のありがたさと、それを得るためどれほどに蚕を大切にしなければならないかを、子供の頃から身に染みて知っているようであった。そんな生い立ちにまつわる昔話をここで始めて聞いたのである。そういうわけで、妻とすれば施設の方と話が弾むのであった。

こんな句があった。

上州の女蚕を敬ひぬ  川井梅峰


女性達のやりとりを聞きながら、蚕が桑の葉の間をゆっくりと動く様子に見入ってしまったのである。


上州の女声高こわだか蚕飼ひ

幼き日妻は蚕と一つ屋根