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ため息俳句 原爆忌

 八月六日の早朝、それは慰霊の朝、平和公園を歩いたことがある。
 息子と二人で。
 そのころ息子はすこしふさぎ込んでいたので、旅に誘ったのだ。
 そんなときに向かうには、重すぎる場所のような気もしたが、息子も理屈っぽい質なので、親爺との二人旅の名分が立ったのだった。
 その旅はずいぶん昔のことになったが、少しだけ憶えている。
 遠くから原爆死没者慰霊碑を拝して、それから、通りかかった小さな歌声の輪に入れてもらったのだった。

「歌」を失す子と歌ひたりヒロシマ忌


 この旅が息子の役に立ったかどうかは分からないが、二人旅なんてもう死ぬまでないだろう。

 そうして、昨日はこんなであった。
 長崎市は慰霊祭にさいして、一つの苦渋の決断をしていた。自分などの思いはどうでもよいが、その選択に異存は無い。
 長崎の平和祈念像、これまで三度ほど訪れたことがある。いつも人影のない炎天下であった。
 昼食、近くの町中華に行った。旨くて安い店だ。いつもは野菜炒めかにらレバ炒めの定食だが、昨日は迷うことなくこれを食べた。

ナガサキ忌てんからちゃんぽんオーダーす  


が、自分が望んだものではなかった、としても、美味しかった。