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ため息俳句1 寒の月


寒の月バナナはひたすら待っている


 昔、バナナは貴重な果物としてリスペクトされていたのだった。
 それが、今はスーパーマーケットの店頭で安売り目玉商品であったりする。
 それをバナナはどう感じているのだろう。
 むしろ、昔よりずっと人々に愛されているのだと知っているだろうか。
 バナナを「芭蕉」と云う人がいるが、芭蕉の実は自分たちが口にするバナナではない。
 我が家では、バナナは毎朝、ミキサーで牛乳と一緒に攪拌して、に身ものとなる。
 そのため、ダイニングテーブルの上に、バナナが置かれていない時がない。バナナは一本売りでなくて開いた指のように売られている、だから、五本なら五本のうちで順に食べられる。
 五番目ともなると、夏場なら黄色の美しかった色が、薄黒い茶に変色する。それは、哀れである。