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「古今十七文字徘徊」帖

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古今のふれあった俳句作品についての所感を記録しておくノートのまとめです。作品にふれあうというのは、きわめて個人的なことで、古典として名高い名句とか、コンクールの優秀作品とか、そう…
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#チャコ

#22 あやまちを重ねてひとり林檎煮る  白石冬美

#22 あやまちを重ねてひとり林檎煮る  白石冬美

 
 林檎を調理して食べるというのは、自分の経験ではほとんどない。あるとすれば、アップルパイなんぞが思いつくだけだ。
 
 例えば、芥川の句。

枝炭の火もほのめけや焼林檎 芥川龍之介

  「枝炭」というのは茶道で用いるものであるというから、焼き鳥屋の備長炭なんぞとは、違うのだろうと想像するが、茶道なんてとんと縁が無いので分からない。
 それでも、晩秋というより木枯らしの吹く冬の晩が雰囲気が出そ

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