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-映画紹介-『おとうと』 誰からも相手にされないだらしないぼくにいつも優しくしてくれるのはお姉ちゃんだけや

《乱れ撃ちシネnote vol.173》

『おとうと』 山田洋次監督 2010年 日本

鑑賞日:2024年1月20日 Netflix

【Introduction】
『解放区』に続いて西成地区めぐりの二本目です。

24.01.20(20) -☆☆☆- 『おとうと』 山田洋次監督 2010年 日本 U-next
先が見えている物語なのに観るものを笑わせ泣かせる山田洋次監督の職人芸の光る古典落語的な作品です。

【物語の概要】
都内の私鉄沿線で薬局を経営しながら娘の小春(蒼井優)を育てながら義母の絹代の面倒を見る高野吟子(吉永小百合)。
夫は10年前に亡くなり弟の鉄郎(笑福亭鶴瓶)は酒癖が悪く音信不通になっていた。

年頃になった小春は医者と結婚することが決まった。
吟子は弟の鉄郎に招待状を出すが宛先不明で手紙は戻ってきた。
ところがなんと結婚式の当日突然鉄郎が会場に姿を現す。
大慌てで追い返そうとする親戚を吟子がなだめて出席させたが鉄郎はやはり酒を飲んで大暴れしてしまった。
だらしない親戚がいると知られた小春の縁談は破綻し彼女は実家に戻ってきた。
しばらくすると鉄郎の愛人を名乗る女性が借金を返せと迫り、吟子はなけなしの貯金を下ろして彼女に支払った。
ある日鉄郎がふらっと姿を現すが吟子も小春も激怒して絶縁を宣言して追い返してしまう。
そして鉄郎とは完全に音信不通となる。

とは言え弟のことが気がかりな吟子は警察に捜索願を出していたが鉄郎が事故に遭ったとの知らせが届く。
鉄郎は大阪西成地区の養護施設に保護されて暮らしていたが末期癌に侵されて・・・。


若い頃に夫と死に別れて女手一つで娘を育てている弟思いの姉吉永小百合と役者を夢に見ながらだらしのない生活を送るダメな弟笑福亭鶴瓶のキャスティングが見事にハマっている。
二人のやりとりを観るだけでも十分に楽しめます。
多くの映画で家族との絆や家族愛を描いてきた山田洋次監督が幸田文の原作をもとに1960年に市川崑監督が映画化した作品へのオマージュ作品だ。

【Trivia & Topics】
*養護施設。

作品では西成にある養護施設「みどりのいえ」と設定されているが、これは東京の山谷に実在するホスピス「きぼうのいえ」をモデルにしている。

*受賞歴
第34回日本アカデミー賞
◯優秀作品賞
◯優秀監督賞(山田洋次)
◯優秀脚本賞(山田洋次、平松恵美子)
◯優秀主演男優賞(笑福亭鶴瓶)
◯優秀主演女優賞(吉永小百合)
◯優秀助演女優賞(蒼井優)
◯優秀音楽賞(冨田勲)
◯優秀撮影賞(近森眞史)
◯優秀照明賞(渡邊孝一)
◯優秀録音賞(岸田和美)
◯優秀編集賞(石井巌)

【5 star rating】
☆☆☆

(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:超お勧めです。
☆☆☆☆:お勧めです。
☆☆☆:楽しめます。
☆☆:駄目でした。
☆:途中下車しました。

【reputation】
Filmarks:☆☆☆★(3.5)

u-next :☆☆☆☆




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