身近過ぎる『水の価値』を改めて考えてみる
水に関する活動を行う中で、『そもそも、水の価値って何だろう?』と考えることが増えたので、言語化してみたいと思います。
日々の生活やビジネスを豊かにするポテンシャルを有する水。面白いと思うので、是非ご一読ください。
水の価値について
①生活基盤としての価値
いわゆる、『水は生きていく上で必要不可欠』といった文脈での価値です。水の価値として、一番イメージしやすいかもしれません。
しかし、普段はこの水の価値について意識しづらいのが難点です。老朽化や災害によって水インフラが遮断された際に、ようやく話題にあがります。
複雑な水問題については、以下で記事にしています。
我々にとって『身近過ぎる』水について、あらゆる視点から、価値を捉えなおすことが重要だと考えます。
②教養としての価値
水を軸に、歴史や哲学、宗教や文化にアプローチすると、新たな発見や、教養の解像度が上がります。
古代文明は、基本的に水辺の周辺で栄えました(物流、生活用水、農業などに必須)。また、古代ギリシャ哲学創始者のタレスは『世界の最も基礎となる最小単位は”水”』として、水を軸に世界を捉えました。日本でも、室町時代には『田植え歌』をきっかけに発展した芸能『田楽』を通じて、農村内で水を適切に水を分配した歴史があります。我々の美意識の根底にある、侘び寂びの精神にも水が深く結びついています。
水は教養を高めるツールとしても、万能だと思います。
文明の発展、昔の人々と水の関係に着目することで、これからの水との付き合い方(新しい水インフラと生活の形)を捉え直すこともできそうです。
この辺り、別途詳しく書きたいと思います。
③コンテンツとしての価値
個人的には、これが一番面白いと思っています。
身近かつ安価、知名度抜群、何とでも関連している、ストーリー性(地域特性など)を有する水は、嗜好品やビジネスの魅力を引き立てる優秀なコンテンツだと思います。
例えばコーヒー。考えてみれば、そのほとんどが”水”で出来ています。軟水で淹れるとマイルドで酸味が立つ味わいに、硬水で淹れると苦みが強くなる傾向があります。コーヒー豆の特性と、水の性質やストーリー性(~山の雪解け水など)を掛け合わせてブランディングすることで、『水にこだわった最高の一杯』を提供出来るかもしれません。
最近流行りのサウナやキャンプ、登山も水が深く関わっています。山登りアプリを提供する株式会社YAMAPの社長は、地球とのつながりの意識を高める為に、流域思考を事業に活かしているそうです。
コロナを経て、カルチャー感度の高い人々と水の距離が縮まっている現在、水をコンテンツとして捉えなおす好機と考えられそうです。
企業のブランディングを行う上でも、水は重要です。サントリーやMicrosoftは、企業理念として『ウォーターポジティブ』を掲げています。事業活動で使う水よりも、多くの水を自然環境に還元することで、水を大量に消費する企業としての責任を果たす、という思想です。
また、企業の『水リスク』に着目したコンサルティングを実施する企業も出てきています。
水に配慮するってイケてる!といった雰囲気を醸成し、『水のエンタメ化』を通じて人と水の距離を縮める。そんなことが出来たら、面白いと思います。
水って大事だよね!という価値観を超越して、水の『教養としての価値』、『コンテンツとしての価値』にも注目することが、皆さんの日々の生活やビジネスを豊かにするきっかけになれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。