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L.O.P.E.S.S 【 Lunatic Of Party Endanger Suck Shit 】 狂人がパーティーを台無しにした件について 〜 北極ピアノテロ vol.1〜

2023/9/7

天候 雨

場所 third stone

実行者 Roiki/lopess

支援金1500yen


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しとしと、しとしととあめがふる日。

わかりやすい看板がすぐ目に入る、喫茶bar thirdstone。

昼のランチ時と、夜のお酒時、二部制。

週末はライヴもやっている模様。

今日は平日。

店先では機材を運ぶジェホバ2世と、店の店主。

ドアが中々開かず、苛立ちが垣間見える。

気にせず機材に降る雨。

滑る手。

段取りは、とてもじゃないが、よくない。

そこを横切る一台の単車。雨男。

駐車場に停車した、白いレトロな車の中にいる2人に頭を垂れている。

エンジンを切った雨男はヘルメットをつけたまま店内に入ろうとする。

しかし、扉はまだあかない。

手伝うことを逡巡したのだろうが、結局彼はうしろからその作業を眺めていた。





店内、、

広すぎず、狭すぎず。

だがライヴするには少し小さいようにも見える。

ちらほらとレコードがかかる壁棚。

手作りのような風合いが、店のところどころに見受けられる。

いつもは禁煙だそうだが、今日はテロ行為なので喫煙してもよいそうだ。


春巻きを頬張るニット帽の女と、いなり寿司を食べる便所サンダルを履いた男。レトロ車に乗っていた怪しい2人組。

ペーパータオルで顔を拭く雨男。

ニコニコしている2世。便所サンダル男の煙草を奪って吸っている。

いつの間にか現れた、眼鏡のひょろ長い教師。芋ケンピと呼ばれるその男は物静かな風貌をしているくせに、唐揚げをがっついていた。

上記のメンバーが今回テロ行為を行うグループのひとつ、lopessのひとたち。




テーブルを囲む5人のミーティング。


便所男が口を開く。

「俺はここで何度かやったが、見ろ」

便所男は自身の口内を指差す。

「試合には勝ったがこの様だ」

男の歯はかなりの数が欠損していた。

メンバーはごくりと喉を鳴らす。

「リハから気合い入れてねぇと、歯どころじゃねえからな」

全員が神妙な面持ちでこくりと頷いた。

「、、、まぁ、そんなに緊張するねぃ。ほれ、食えよ」

便所男は手掴みした鉄火巻をメンバーに渡していく。

「腹が減ってはなんとやらだ。さて、今日の対戦相手だが、、、やっこさん、随分と来るのが遅いようやん、、そこで、俺にひとつ作戦があるで、、、」


ごにょごにょごにょ、、、


、、、




今日のメイン

サングラスにスキンヘッド、オレンジ色の服を纏ったlopessの対戦相手が現れる。

便所男はすぐ立ち上がり、腰を90°に曲げ、とても大きな声で挨拶した。

「お前らも挨拶せんかィぃ‼︎」

怒声が店内に響きわたる。

「まぁまぁ、そんな怖がらせたらあかんでサンちゃん」

スキンヘッドの男はラフな感じで便所サンダルの肩を叩いて店内をじっくり見渡す。

「ほな、リハしよか」

スキンヘッドは既に用意されていたピアノの前に腰掛け、コンコン、と鳴らしていく。

「、、、挨拶は全然かまんちゃけど、これは見逃せんのぉ」

そう言ってスキンヘッドは立ち上がり、ジェホバ2世の前に移動する。

「あんちゃん、これ仕掛けたんお前やろ」

そうして便所男の指示でピアノに罠を仕掛けていたジェホバ2世は強烈なカーフキックを叩き込まれる。

2世の足首は完全に破壊された。

苦い顔をする便所男。

それを見透かし、笑うスキンヘッド。

「もう変なことしたらあかんでー。ほな本番での」

スキンヘッドはそう言いながら店内から出て行った。

床でのたうち回る2世に唾を吐きかける便所男。

lopessのメンバーはリハーサルの準備に取り掛かった。

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