見出し画像

イラストレーションのトリミング | 「同人誌表紙デザイン 5案作ってみた!」 こぼれ話

「同人誌表紙デザイン 5案作ってみた!」 の、イラストレーションのトリミングに関するツイートにたくさんの反応をいただいたため、トリミング・レイアウトに関する「こぼれ話」としてnoteにもアップすることにしました。


↓ 本編はこちら!


↓ ツイート内容はこちら!

「漫画の表紙デザインをするとき、自分はイラストレーションのトリミングから開始、決め込んだら最後まで微調整程度しか動かさないのですが

イラストレーションだけの状態で、デザインの上がりイメージまでなんとなく見えるのが伝わるでしょうか?」



オーダー(1)
「同人誌らしい、自由なデザイン」

横倒し、自由なレイアウト



「イラストレーションを倒している」=「はっきり・しっかりイラストレーションを見せていない(わかりにくい)」自由な印象のレイアウトです。

わかりにくい」部分が増えると「情報」より「感覚」のポジションが上がるため、なんとなく「感覚的」「おしゃれ」にも見えやすかったりします。

同人誌デザインで、「とくかくおしゃれならいい」という条件下であれば、取り入れやすい手法です。

商業デザインの場合、安易に取り入れると「おしゃれ」でも「訴求力が弱まる(=わかりにくくなる・数字が出にくくなる)」可能性があるため、高い構成力・基礎力が求められる手法かもしれません。



オーダー(2)
「商業っぽい、情報を伝えるデザイン」

強いセンター配置、足が下部に接した安定したトリミング



センター配置は「強い印象」になり、「はっきりしっかり」した印象を受けます。完全なセンターの場合、失敗すると「王道感」が強くなりすぎて「古い印象」になりやすいため、注意が必要なレイアウトではあります。 

作業開始時は完全なセンターでスタート。タイトルが「レッド」と「スパイダー」「リリー」に分かれ、後半が2行のため、やや右寄りでフィニッシュしました。

足が紙面の下部(仮想の地面)に接しているトリミングのため、安定感が出やすいです。

頭部の一部をカットすることで、画面に迫って来るような、より強い印象に見せています。


頭部全体が見えるようにトリミングすると、抜け感ができイラストレーションも小さくなるため、繊細なふわっとした印象が追加されると思います。

頭部全体を見せたトリミング


比較(左がオリジナル):頭部の一部をカットし迫力を出している



オーダー(3)
「電子媒体でも目立つデザイン」

顔のアップ、大胆なトリミング



イラストレーションが自他ともに認める「顔」なタイプのため、電子媒体で見せるなら顔のアップが目立つと思い、かなり大胆にトリミングしました。

とはいえ、キャラが2人かつ引きで描いた構成のイラストレーションのため、本来なら世界観・関係性を見せるためにもう少し引いた方がいいです。

※初めからアップにすることを前提で描いたイラストレーションは、アップの中に情報を詰め込んであるため、パッと見が似ていても構成・密度が違います。

アップにすることを前提にイラストレーションを描くなら、自分の場合は手(表情が出やすいパーツ)はもっと顔の近くに配置します。

今回は、彼岸花を大きく見せて世界観を伝えられると考え、あえて一般的な手法を取らずサムネで目立たせることを優先しました。


手は「2人の関係性・表情・空気感」が出やすいため、カットせずに入れる場合が多いはずです。本来であればアップにトリミングしたとしても、以下の画像程度だと思います。

手まで入れたトリミング


比較(左がオリジナル):大胆な顔のアップのトリミング


※作家さんによっては、引き(ロング)の方が映える場合もあり、条件によりベストな内容も変わるため、必ずしもアップがいいというわけではありません。



オーダー(4)
「商業っぽい表現、雰囲気を優先したデザイン」

思い切り傾けた、不安定なレイアウト



不安定」「落ちていくイメージ」というオーダーのため、イラストレーションを思い切り傾けてあります。(角度は313°(-47°))

かなりグラグラに見え、不安定な印象を受けると思います。足が紙面の下部(仮想の地面)ではなく左に着いているため、余計に不安定に見えるのではないでしょうか。

また、「右肩下がり」はゲン担ぎをする日本人にとって、あまりいい印象を受けない場合があるため、更に不安定に見えるかもしれません。


右肩上がりにすると以下のようになります。

右肩上がり


比較(左がオリジナル):右肩下がり



オーダー(5)
「同人誌らしい、可読性が低くても感覚に刺さるデザイン」

閉塞感があり「病み」を感じるトリミング・レイアウト



5案の中で1番攻めたトリミング・レイアウトだと思っています。

紙面ギチギチに詰め込んであるため「閉塞感」があり、その息苦しい雰囲気で「病み」感を表現しています。

紙面の右下で、赤いハイヒールをしっかり見せているのもこだわりです。

イラストレーションの一部をカットすることで、その先を連想させ広がりを持たせる手法がありますが、あえてハイヒール全体を見せ、空気感がその場所で「ピタッ」と止まるようにしています。(空気感が止まった方が閉塞感が強まります。)


ハイヒールの一部をカットすると、流れるような世界観のラインが現れます。

ハイヒールの一部をカット


比較(左がオリジナル):ハイヒールがすべて見えている。閉塞感が強い



トリミング・レイアウトにフォーカスを絞って記事をまとめてみました。いかがだったでしょうか?


「トリミング・レイアウト」「表現」「物語の印象」3方向の簡易解説画像を並べると以下のようになります。

● トリミング・レイアウト

● 表現

● 物語の印象


最後までお読みいただき、ありがとうございました!
この記事が、何か少しでもお役に立てたらうれしいです。


この記事を気に入っていただけたら、ぜひ「❤️(スキ)」クリックをお願いいたします!モチベが上がります💪✨
(❤️はnoteに未登録でも押せます!)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?