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【日記】ツメが甘い
僕のツメはとても甘い。
それは放っておいたらアリさんがわらわらとやってきそうなくらいには甘い。
まあもちろん「ツメが甘い」の「ツメ」は、「爪」ではなく、「詰め」である。 (爪が甘かったら小腹が空いたときに便利そうだけども)
ペーパーレス化が進むこの時代に、僕は「成果物を印刷して書類を取引先に郵送する」という何とも前時代的な職に就いている。
事件が発覚したのはとある朝だった。
朝起きて、社用スマホを開いたとき、取引先から先輩宛に「〇〇の件について」というメールが入っていた。〇〇とは僕が所属している部署の仕事で、その成果物をつい2日前に僕が郵送したところだった。
※僕の会社のメールは同じ部署の人のメールが全て見えるようになっている。
メールを読むと、「送ってもらった成果物の中身が違った。表紙は依頼した通りだけども、次のページから全然違う書類が入っていた。できれば交換してくれないか。」という内容とともに、表紙をめくると全く違う資料が入っている写真が一枚添付されていた。
寝ぼけていたのと、あまりに表紙と中身がかけ離れていた(例えるなら、居酒屋のメニュー開いたら家具屋のカタログが入っていた感じ)ので、朝から「先輩も面白いミスするなあ」とか思っていた。
通勤しながら「側から見ると面白いけど本人はびっくりだろうし、謝るのも大変だろうな」とか思っていたとき、おもむろに目が覚めてあることに気づいた。
郵送準備だけでなく、印刷したのも僕だったということに。
でも半分寝ぼけていたので(僕は朝にめっぽう弱い)、まだどこか「いや、あれ確か先輩がやってたはずなんだけど」と思いながら会社に着いた。
会社に着くと、先輩にメールの件と、「次からは気をつけてね」と言われ、やっと自分が失敗したことを自覚した。幸い納期に余裕があったのと、間違えて送った別の資料もすでに公開しているチラシのようなデータだったので大事にならずに済んだのと、メールが先輩宛だったので僕が謝罪することもなく事は済んだ。もちろん先輩には平謝りした。
原因は確認不足だ。
表紙を印刷した後、別ファイルの中身を印刷して、まとめて封筒に入れ郵送する、という手順で、印刷機から出てきたものを何も確認せずそのまま封筒に突っ込み、封をして宛名を貼った。
まだ一年目の新米だから許されたが、次があるかはわからない。
そして今日もやってしまった。
正確には「やってしまったかもしれないような気がする」なのだが。
今日は前記の件とはまた全然違う仕事をしていたのだが、その中に「成果物を郵送する」というタスクがあった。
今回の仕事はかなりボリュームがあったのと、納期がギリギリで休日出勤をしなくてはならないくらいには忙しく、わたわたしていた。
そして今日中に成果物を郵送しなくてはいけないというプレッシャーと闘っていた。
意外にも郵送の受付終了時刻の三時間くらい前には成果物ができあがった。
それを封筒に入れて宛名を貼り付け、その数時間後に配達員の人が受け取りに来て、郵送が完了した。
完了したのだが、今思い返せば、成果物を一度も開いていない。
非常にまずい。
パソコン画面で何回か確認した気がする。気がするだけだし、それしかしていない。
考えれば考えるほど、何かミスをしている気がして仕方がない。
普段22時には完全就寝している僕が、「やばいかもしれない」と思って目が冴えててっぺん回ってこの記事を書いているぐらいにはやばい。どうしよう。
郵送までに時間の余裕はあったのだから、封筒に入れる前にゆっくり全ページ確認することもできたはずだ。それをしていれば今頃ぐっすり夢の中だっただろう。
考え込みすぎて眠れなくなった僕は、自分の詰めの甘さについて自己分析してみた。
そもそも僕はタスク管理が上手ではない。
マルチタスクなんてもってのほかだが、人員が少ないので個人用ホワイトボードやタスク管理アプリなどを使ってなんとかやりくりしている。
「タスク管理が苦手である」という自覚がありコンプレックスに思っているからこそ「タスクを完遂させねばならない」というプレッシャーが人一倍強いのだと思う。
その結果、ゴールが見えかけたところで「早くこの呪縛から解放されたい=どうにかしてタスクを完了させたい」というアクセルがかかり、どんなに時間に余裕があろうと、夏休み最終日の子供のように課題を完了させる。
クオリティよりも「タスクの完了」ということに目が行き、最終確認もせずに全てを終わらせてしまうのである。
実際このnoteだってだいぶ終わりに近づいてきたから早く終わらせてしまいたいという気持ちが強いし読み返さないまま公開すると思う。
そういえば別の媒体で考察本を出したとき、完成した後一度も読み返さずに入稿して印刷したことを思い出した。
趣味なら許されるが、仕事であれば許されないし、今日のミス未遂が明日以降どうなるのか恐怖である。
よくない癖だとわかっているし、気をつけたいとも思っているが、ラストスパートのアクセルがかかった時は他のことが考えられないくらいには「タスクの完了」しか考えていない。
気づくのはいつも、失敗が発覚するか、もう取り返しのつかない(今日であれば郵送が完了してしまった)時点である。
僕は定期的に心理カウンセリングに通っているのだが、次の話題はこの詰めの甘さにしようかな、と考えている。
どうにか上手くこの詰めの甘さを改善して、詰めが苦いくらいにはなりたいものだ。
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