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堀田龍也 他4名『学校アップデート 情報化に対応した整備のための手引き』

ICT実践を推進する4名の識者が、オンライン実践・環境整備の取り組みをまとめた一冊です。 オンラインを推進するための心構えから、求められる人材像、具体的な実践まで、いくつか抜粋して、まとめました。

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アジャイル(agile)とは、「すばやい」「迅速な」という意味です。ソフトウェア業界では、かつては詳細まで徹底的に検討し、盤石な設計をし、何ヶ月もかけて大人数でソフトウェアを開発し、ようやくリリースに至るという方法を採用していました。しかし、変化の速い今の時代には、この方法は適していません。そこで、まずは基本的な機能だけを開発してリリースし、ユーザに使ってもらいながら使い勝手をフィードバックしてもらい、急がれる不具合の修正や、追加機能を順次付け足していくということを繰り返す開発手法を採用するアジャイル開発が一般的になりました。そのため、私たちはしばしばアプリのアップデートを体験することになっているのです。

2 育てるべき人材像をアップデートする
1)情報活用能力が身についた人材
「仕事ができる人」=「必要に応じてICTを適切に活用し、情報を適切に処理する能力」をもっている

2)情報技術を体験した人材
プログラミング 体験的に学んでいく力をもっている

3)変化に負けないマインドを持った人材
自分で決める力をもっている

3 具体的な実践事例

1)学びの個別最適化 袋井市三川小学校「算数」

自習用算数教材「やるKey+」
アダプティブドリル教材「やるKey」

①Ipadと「やるKey」の操作方法については、単元の1時間目には、「どう使うの?」というところがあったそうですが、適応してくると、特に教えなくても、どんどん使えるようになっていくそうで、「想定以上に2回目、3回目、と操作についての労力、時間はどんどん短縮されていった」と先生は言います。

2)環境整備と日常的な活用 小金井市立前原小学校「朝ノート」

Chromebook 

①新しい健康観察(「朝ノート」にいいねやコメント)

普通に教室で健康観察をすれば、コミュニケーションは席が近い人とだけ生まれます。スクールタクトを活用した朝ノートの活動で、教室での移動を超えたコミュニケーションが可能になります。
教室でみんなでChrome bookに向かってキーボード入力をしている教室はとても静かです。しかし、スクールタクト上では、さまざまなコミュニケーションがされています。オンラインでの静かなコミュニケーションが、オフラインでの児童間の関係、先生と児童との関係にも確実に反映されていくだろうな、と感じます。

②自律して、必要なことを自分で考えて学ぶ算数

ある日の指示「48ページの力だめしがいい問題なので、ぜひ挑戦してください。すでに終わっている人は計算ドリルを進めてね。プリントもあるので置いておきます。自分でeboardを見る人もいますね。それでもいいですね。」
何をやってもいい、という授業になっていますが、到達するところは決められています。

葦手先生からクラスの児童へ向けた「○○をしましょう」という指示はほとんどありません。教科書の内容の説明についても、最初だけなので量は圧倒的に少ないと感じられます。席も自由で、隣の子と意見交換しつつ、教え合ったりする様子も見られます。でも、ふざけている様子もなく、みんな自分で学んでいます。自学する環境ができています。みんなが「手を動かしている」のが素晴らしく、学びの個別化が実現できていると感じました。

→向山学級の討論の前、雪国のくらしの討論の前と近似している

葦手先生は「個別化によって子どもは楽しそう。学びが個別化されることによって、子どもたちは他人と比べなくなっていく」と言います。


3)プログラミング さとえ学園小学校「プログラミング」

2018年からIpad環境(セルラーモデル not wifi)環境を実現し、学校生活のあらゆる場面で活用していきます

「一人一台ICTを使うためのレベルアップ制度」

グリーン:カメラ撮影/AirPlay/スクリーンショット/パスコード6桁/スクリーンタイム/Safari/App4+コンテンツ・フィルタ
ブルー
ゴールド :FaceTime/iMessage/Siri/Touch ID指紋認証/App17+コンテンツ・フィルタ ラーニングコモンズのプログラミングキットを使うことができる 休み時間に活用できるイエロー
レッド

自身の学校で実践するヒントが詰まった一冊です。