最近の記事

合田哲雄『学習指導要領の読み方・活かし方』

新学習指導要領のポイントやキーワードが示されます。しかし、そのポイントやキーワードが何を意味していて、どんな授業を目指しているのか?指導要領と授業の間をつなぐ解説として、有用な一冊でした。 1  AI時代における「人間としての強み」 1)教科書や新聞、新書などの内容を頭でベン図を描きながら構造的に性格に読み取る力 2)歴史的事象を因果関係で捉えるとか、比較・関連づけといった科学的に探求する方法を用いて考えるといった教科固有の見方・考え方を働かせて、教科の文脈上重要な概念

    • ジェフ・トンプソン「小枝にしばられたゾウ」

      挑戦できているのか?新しいことができているのか?迷いがある時もありますが、迷いがあるということは進んでいるのだとも言えそうです。ジェフトンプソンのわかりやすいまとめとすっきりした言葉に学ぶ一冊でした。 法則1 今でなければいつ始める? 法則2 あなた自身が主人であれ 法則3 あなたの考え方があなたを作る 法則4 挑戦するエネルギーを得る 法則5 あなたのエネルギーはあなたのものである 法則6 なりたい自分になる 法則7 目標を決める 法則8 粘り強さが結果につながる 法則9

      • 落合陽一『働き方5.0 これからの世界をつくる仲間たちへ』

        こなす労働ではなく、創り出す働きをするためには?落合陽一氏が鋭い角度から、分かりやすく解説してくださっている一冊です。 1 クリエイティブ・クラス:自分で教科書を書けるだけの専門性をもつ (教科書から学ぶ「勉強」ではなく、教科書を作る「研究」をする) 2 「勉強」と「研究」のちがい クリエイティブ・クラスを目指す上で「勉強」(受験勉強、ビジネス書を読んでの勉強など)は必要です。でも、それは次のステップへ進むための大前提でしかありません。新しい問題を発見して解決するのは「

        • 『ポスト・コロナショックの学校で教師が考えておきたいこと』

          学校再開に備えるための必須テーマに対し、研究者・NPO法人、管理職、教諭、専門職、教育の最前線を支える関係者からの25の提言をしています。 学校・教師の存在意義 学校の安全性 家庭への関わりや虐待の問題 から オンライン授業や これからの授業づくり学級経営まで幅広くまとまっている一冊。 今回は、連載の締めくくりとして、 堀田龍也先生の論考を取り上げます。 「コロナショックでも学習保証をするためのオンライン授業」 2020年3月2日に始まった学校の臨時休業から、 文部科

        合田哲雄『学習指導要領の読み方・活かし方』

        • ジェフ・トンプソン「小枝にしばられたゾウ」

        • 落合陽一『働き方5.0 これからの世界をつくる仲間たちへ』

        • 『ポスト・コロナショックの学校で教師が考えておきたいこと』

          藤田麻衣子『一つ言葉にすれば一つ何かが変わる』

          藤田麻衣子さんのファンの方からお勧めされた一冊です。苦悩を乗り越え、伸び悩む時期を乗り越え、その先に得たものが実感のこもった言葉で描かれています。 1 偶然目にするものの中にヒントを見つける "何かを得ようと目指している人がどんなにたくさんいても、本気で行動する人がその中にどれだけいるのか。自分があきらめなければ、周りがどんどんあきらめていく。その中の一握りに自分がなれればいい"というようなことが書かれていました。 その時にふと「あぁ、私は歌手になれるな」と感じました。

          藤田麻衣子『一つ言葉にすれば一つ何かが変わる』

          見波利幸『心が折れる職場』

          心折れる職場環境と、辛いことがあっても乗り越えることができる職場のちがいを知ることができる一冊です。心も体も健康に、を目指します。 1 「自発的な飲み会」のない職場で、メンタル不調が多発するわけ では、飲み会がしばしば開かれる職場と、同僚同士で業務時間外の交流がほとんどない職場とでは、何が違うのでしょうか。 それは職場の雰囲気、空気とも言えるものです。飲み会が開かれないから、メンバーの心が折れたり、メンタルに不調をきたしてしまう人が発生したりするのではなく、皆の心が折

          見波利幸『心が折れる職場』

          小西甚一『日本文学史』

          一口に「和風」「日本的」と言っても、歴史を掘り下げていくと様々な変遷があります。小西氏の深く、幅広い切り口から、文学史を学べる一冊です。 1 わたくしどもは、永遠なるものに憧れずにはいられない。 2 …ところで、永遠なるものへの憧れは、北極と南極とのように、ふたつの極をもつ。そのひとつは「完成」であり、他のひとつは「無限」である。いま、これを藝術の世界について考えると、完成の極にむかうものは、それ以上どうしようもないところまで磨き上げられた高さをめざすのに対し、無限の極に

          小西甚一『日本文学史』

          堀田龍也 他4名『学校アップデート 情報化に対応した整備のための手引き』

          ICT実践を推進する4名の識者が、オンライン実践・環境整備の取り組みをまとめた一冊です。 オンラインを推進するための心構えから、求められる人材像、具体的な実践まで、いくつか抜粋して、まとめました。 1 アジャイル(agile)とは、「すばやい」「迅速な」という意味です。ソフトウェア業界では、かつては詳細まで徹底的に検討し、盤石な設計をし、何ヶ月もかけて大人数でソフトウェアを開発し、ようやくリリースに至るという方法を採用していました。しかし、変化の速い今の時代には、この方法は

          堀田龍也 他4名『学校アップデート 情報化に対応した整備のための手引き』

          森博嗣『面白いとは何か?面白く生きるには』

          「面白い」は多義的な言葉です。自分が目指す「面白い」はどこにあるのか?日常生活においても、人生の目指す方向においても、考えるに足るテーマだと思います。普段何気なく使う「面白い」という言葉を追究する一冊です。 <以下、抜き書き> 1 「面白さ」には7種類ある 「可笑しい」→笑える、ギャグ、ユーモア、苦笑、ほのぼの、癒される 「興味深い」→考えさせられる、好きなもの、気づきがある、調べたいもの 「思いどおりになる」→考えたとおり、予測が当たる、繰り返し、同感、共感 「手応えが

          森博嗣『面白いとは何か?面白く生きるには』

          フィリップ・コトラー『コトラーのリテール4.0』

          デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む時代において、小売業がどう変わっていくか?これは経済的な視点で読み解くことはもちろん、オンライン化が進む教育界においても読み直す必要があります。顧客の傾向、自社(自校)の戦略を探るヒントとなる一冊です。 以下、抜き書きとポイントの整理 1 「リテール4.0」とは? 「リテール1.0」 通常、いわゆるセルフサービス式店舗の誕生とともに始まったとされる。伝統的な店舗では、とりわけ人的要素を原動力とし、経営者または運営者が専門性

          フィリップ・コトラー『コトラーのリテール4.0』

          佐宗邦威『直感と論理をつなぐ思考法』

          ついつい「論理」だけで生きようとしてしまう人。ついつい「直感」だけで生きようとしてしまう人。しかしちょっとの考え方・アイディアの蓄え方で、両方を生かすことができる思考法を得ることができます。そのヒントをつかめる一冊です。 <以下、抜き書き> 1 全体構造図あり 現実(目に見える地上世界) 1)カイゼンの農地 2)戦略の広野 3)デザインの平原 4)人生芸術の山脈 穴 ビジョンのアトリエ(目に見えない地下世界) 2 変わるための回り道(「余白」)が大事 トランジシ

          佐宗邦威『直感と論理をつなぐ思考法』

          永井均『ウィトゲンシュタイン入門』

          分析哲学を切り開いたウィトゲンシュタインの本を読みました。人生で大きな思想転換をした彼の背景が、筆者の突っ込んだ思弁のもとに展開されている一冊です。 <以下抜き書き> 1 だが、「語りえぬもの」とは何か?それを理解するためには、彼がほんとうに語りえなかったものが、語りえなかったにもかかわらず、いや語りえなかったからこそ、ある仕方で、あらかじめつかまれていなければならないのである。 2 ウィトゲンシュタイン 8人兄弟(男5人 女3人 末っ子) 兄・三男・次男の相次いでの自殺

          永井均『ウィトゲンシュタイン入門』

          『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』

          オンライン化が各学校でも進められています。オンラインを前向きに受け止めるために何が必要か?海外のオンライン情勢を見てきた筆者が、「アフターデジタル」時代の考え方やビジネスモデルを整理した一冊です。 <以下抜き書き> 1 日本のビジネスパーソンは、「デジタルが完全に浸透した世界をイメージできていない」ということです。 2 オンラインとオフラインの主従逆転 →オンラインが主でオフラインは従「信頼獲得可能な顧客との接点」という位置づけ 3 新しい競争原理 「顧客接点データを多

          『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』

          本田由紀『教育は何を評価してきたのか』

          日本社会の息苦しさ 日本人のスキルの高さと それに相反する自己肯定感の低さ こうした社会背景を出発点に、 教育が評価してきたものを、歴史・政策・法案などからレビューしていく一冊。 「○○スタンダード」の是非を問う一冊ではないのだが、 論の展開の中で、登場した。 次の記述である。 「○○スタンダード」など、 教育現場で広がっているこれらの活動の背後には、それぞれを推奨する団体や個人が存在し、理念として「自分のことよりも人様のためにという自己犠牲の精神が芽生えてくる

          本田由紀『教育は何を評価してきたのか』

          榎本博明『「上から目線」の構造』

          「上から目線」と感じてしまう若者の心理の構造を紐解く一冊。「そのままでいい」と「そのままの君でいい」という言葉のニュアンスのちがいに、「上から目線の構造」を読み解くヒントが隠されています。自分を認め、他者を認め、立場に引きずられずに、共に高め合っていくような関係性を目指したいです。 <以下抜き書き>1 日本の「甘え文化」:自分からアピールせずに、相手がこちらのひそかな要求に答えてくれることをひたすら期待して待つ。それが日本流のやり方なのだ。だからこそ相手の出方が非常に気にな

          榎本博明『「上から目線」の構造』

          田中菊雄、渡部昇一『知的人生に贈る』7つの教え

           偉大な知の巨匠・渡辺昇一と静かな知の巨匠・田中菊雄(元教員)による対談本。人選を通して自己や仕事を向上させていく上で必要なことは何か?「整理」「師に学ぶ」「先人に学ぶ」「ゆとり巻の提要」など、示唆に富む一冊です。 <以下、抜き書き> 1 「人生を処していく上で、最も必要な習慣は?」 私はためらわず「整理という習慣である」と答えたい。 ディタイ『青年時代のヘーゲル』 シュッツガルトのギムナジウムを彼は模範生で通したが、現実を見る彼の眼は早くから哲学的な探究欲に燃えてい

          田中菊雄、渡部昇一『知的人生に贈る』7つの教え