試験にはたぶん出ない古語クイズ(2022/07/15)

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 答えは「①きゅうりをきる」でした。

 漢字で書くと「久離(旧離)を切る」となります。江戸時代の勘当で、親族が奉行所に願い出て認められると戸籍から抹消されました。

「勘当」と「久離」はどちらも親子の縁を切る行為ですが、「勘当=久離」ではないことに少しご注意ください。「勘当」は許されれば元の関係に戻るのも可能ですが、「久離」は制度上の正式な勘当で、実行された人は戸籍から削除されて二度と復帰できません。
(「久離」を「勘当」と表現するケースはありますが、戸籍から削除されない「勘当」を「久離」と呼ぶことはありません)

 かなり厳しい措置で、文学作品では駆け落ちや横領、博打による多額の負債などで家を出て、家族に久離を切られてしまうケースを見掛けます。――残された家族の側からすると、家出をした者の犯罪や負債の連帯責任から逃れるための「久離」になります。

【 原文 】
律義(りつぎ)なる親仁(おやぢ)腹立(ふくりふ)せられしを、色々詫(わ)びても機嫌直らず、町衆(ちゃうしゅ)に袴着せて旧里(きうり)を切って子を一人捨てける。

【 現代語訳 】
実直な性格の店主は腹を立て、周囲の者たちが本人の代わりに何度もわびたが一向に機嫌が直らず、最後は袴を着せた町衆を奉行所に行かせて久離(きゅうり)を切り、我が子を戸籍から抹消した。

(『日本永代蔵』、井原西鶴)

 ちなみに、江戸時代の戸籍は「人別帳(にんべつちょう)」といい、これに登録されていない人を「無宿者(むしゅくもの)」と呼びました。どちらも時代劇や歴史小説でしばしば見聞きします。

 ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

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