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第20回 国家資格キャリアコンサルタント試験 合格体験記

国家資格キャリアコンサルタントの試験に合格した。想像以上に大変だった。合格率と実感がマッチしない、油断厳禁の国家試験。正直、勉強を開始した頃に知っていたら良かったのになぁと思うことも多かった。そこでこの記事では、これから勉強を始める方、今勉強中の方への参考になればと願いを込めて、養成講座ではあまり教えてくれないことを中心に、合格体験記として私が行った試験対策方法や気づきをまとめていこうと思う。もちろんこれは私の事例にすぎない。あなたにとって良い情報だけを採り入れて、自分なりのベストな準備に少しでも役立ててもらえればこれ以上うれしいことはない。

申込み~試験合格の流れ

私が受験したのは、第20回国家資格キャリアコンサルタント試験(CC協議会)。これが初めての受験で、学科・実技とも1回で合格することができた。準備期間は約6ヶ月。2021年の年末ぎりぎりに養成講座(ヒューマンアカデミー:https://haa.athuman.com/)へ申し込み、1~3月は養成講座を受講(e-learningとオンライン授業)、4~6月は受験対策(自主勉強)、7月に受験(3日に学科と論述、23日に面接)、8月中旬に合格発表という流れだった。

第20回の結果と感想

試験結果は、学科が74点(合格ラインは70点以上)、実技が112点(合格ラインは90点以上)。論述は34点/50点、面接はオールA判定だった。

第20回は合格率も平均点も比較的高かったが、個人的には学科試験は「難問と確実に取れる問題が両極端」という感想を抱いた。特に時事問題は難問が多く、理論家問題も過去問では対応できない問いが散見された。模擬試験的にトライした第18、19回の方が点数を取れていたが、本試験の学科の自己採点では×が多くて途中からハラハラが止まらなかった。確実に取れる問題を落とさず、事前対策のしやすい理論問題で手を抜かなかったことが結果的には合格のポイントだったと思える。時事対策は際限がないので、深追いは危険と言われているが、本当にそうだと実感を持って言える。論述試験は、これまでの傾向を踏襲した標準的な問題という印象。面接試験は、自分の訓練不足を感じてあまり手ごたえがなかったものの、面接官はとてもやさしく、事前情報との齟齬はあまりなかった(養成講座の同期の中には厳しい面接官にあたって落ちた人もいた)。

準備期間を通しての気づき

合格した今、全てを振り返って気づくことは次の3つだ。
➀養成講座で習うことと受験対策は別物と考えて試験の準備を行った方が良い
②合格ラインを超えるのは、決して簡単ではなく、適切な準備と努力が必要
③養成講座で習うことも、受験対策も、自分のキャリア形成には役立つことばかり

それぞれを解説していこう。

➀養成講座で習うことと受験対策は別物と考えて試験の準備を行った方が良い

養成講座は予備校の受験対策講座ではない。キャリアコンサルタントになるうえで必要なことを網羅的に教わる場所であり、逆に言えば効果的な試験対策はあまり教わらない。しかし、これは実に大切なことであり、資格マニア対策としても必要なこと。自分が相談者になるとしたら、試験で高得点を取った人よりも、適性と熱意があって親身になってくれる方にコンサルティングをしてもらいたいと思う。養成講座の講師も「うちは予備校ではありません」と宣言していたが、むしろそれが良かった。養成講座では決められたカリキュラムを着実に消化し、一つ一つを身に着けていくことに集中するのが良いと思う。養成講座を修了したら、受験対策を1から始め試験に臨む。これが王道だと実感した。

②合格ラインを超えるのは、決して簡単ではなく、適切な準備が必要

第20回の同時受験者の合格率は約50%。半分受かる、というデータを見て、「まぁ普通に対策すれば合格するだろう」と甘く考えていた。ところが始めて見ると試験範囲の広さに苦戦し、問題も決して簡単な問題ばかりではない。問題集で「範囲は広いが、出るところは限られている。頻出の箇所を押さえれば合格最低ラインは超えられる」と書かれているものもあるが、その対策だけでは残念ながら不合格の可能性が高い。近年は単純暗記で対応できる問題が減っている。簿記などと違って誰でも申し込みができる試験でもない。養成講座の同期が半分落ちる、と考えると決して簡単な試験ではないことに気づいたのは試験前1か月半くらいだった。もっと綿密なスケジュールを立てて準備すれば後半で焦らずに済んだのに、という想いが今もある。

③養成講座で習うことも、受験対策も、自分のキャリア形成には役立つことばかり

養成講座ではキャリアコンサルタントに関わるすべてのことを網羅的に教わるが、何しろ分量が多いので、毎週毎週課題をこなしながら習ったことを全て消化しきるのは現実的ではない。カウンセリング理論や技法、アセスメントツールなどは自分自身のキャリアを振り返りコミュニケーション力を高める絶好の機会になるので、受験対策では特に知識部分を定着させるために必要な時間だと思えば決して無駄にはならない。バンデューラの自己効力感を高める4つの方法、個人が起点のキャリア形成の大切さを説くホールのプロティアンキャリア、不快な感情を生む認知の歪みを分類したベックの認知(行動)療法など、この先の人生に役立つ理論は数限りない。受験勉強も含めて「勉強して良かった」と思える内容であることは間違いないので、試験の合否だけに捉われずに前向きに勉強を進めたい。

私の勉強方法

ここでは私が行った勉強方法を➀学科、②論述、③面接 の3パートに分けてお伝えする。

➀学科対策

効率的に結果を出すには、次の流れをお勧めする。
全体像を掴む → 過去問ベースでひたすら記憶の定着を図る → 総復習

全体像を掴むために、私は問題集『国家資格キャリアコンサルタント・2級技能士 合格のトリセツ 学科試験 速習テキスト&問題集【2022年版】』(東京リーガルマインド)を使用した。試験の傾向や頻出問題を問題ベースで理解できる。1か月かけて、これを3回繰り返した。次に、問題集『国家資格キャリアコンサルタント学科試験要点テキスト&一問一答問題集 合格ライン7割はらくらくクリア! 2022年版 / 柴田郁夫』(秀和システム)を使用し、約1か月半はこの問題集をひたすらこなし、3回繰り返した。その後、理論家やアセスメントツール、時事をノートにまとめて記憶の定着・確認に充てた。時事は『労働経済の分析』『能力開発基本調査』の要点をチェック。みん合(https://www.career-consultant.info/)の「楽習ノート」も本当に充実していて役立った。
今から考えると、LECの問題集を3週間程度で終えて、2か月ほど一問一答問題集に充てられれば良かったと思う。第20回では理論家も単純なキーワードの記憶では対応できない突っ込んだ問題が多かったので、細かい論点も十分にインプットしたかどうかが合否を分けたように思った。今思う、ベストな受験対策は以下のとおりだ。

②論述対策

同期の中には論述の対策をせずに試験に臨み、落ちた人もいた。何となく書けそうな気がしてしまう形式なのだが、合格点を取りたければ必ず対策の時間を確保することをお勧めする。私の場合は、試験日直前2~3週間で論述対策の問題集『国家資格キャリアコンサルタント 実技試験(面接・論述)実践テキスト』(秀和システム)を使い、問題集の中の練習問題を実際に解きながら理解を進めた。予備校が行っている対策講座を受けて添削してもらえる機会が作れればそれに越したことはない。とにかく自分で書いてみることが大事。本試験は意外と時間に追われる。私も最後の文字を書いた時間と終了時刻はほぼ同時。養成講座の同期も大差なかった。ケースを理解して文章を構成し、解答用紙に答案として書くためには一定の訓練が必要だ。対策をすれば合格点は超えられる科目という印象なので、その時間を最初から見積もることをお勧めする。今思う、ベストな受験対策は以下のとおりだ。

③面接対策

まず、養成講座の授業でロープレをした際に気づいたこと(自分の癖や改善点)はリストアップし、講座を通して改善できるように努力したほうがいい。私であれば口癖(つい「まぁ」と言っちゃう)や課題(繰り返しが足りない、解決しようとしてしまうなど)を見つけたが、こういったものは一週間程度で克服できるものではない。自覚する→トレーニング→改善、というループを繰り返す以外はないので、講座を意識しながら取り組むのが大前提だ。私の場合は、学科試験が終わったらすぐに問題集『国家資格キャリアコンサルタント 実技試験(面接・論述)実践テキスト』(秀和システム)でポイントをインプットしながら、養成機関が開催した対策講座や同期とのロープレを行い、都度ノートに気づいたことをまとめた。さらに、直前にYouTubeでポイントを確認し、本番に臨んだ。

面接対策を通じてわかったことは、やみくもに同期とのロープレを繰り替えしても上達しないどころか、変な癖がついてしまう危険があるということだ。面接対策は、➀適切なロープレのポイントを頭で理解する → ②頭で理解したことが身体で表現(再現)できるように訓練する、というプロセスが必要で、必ず➀→②の順を辿らないと上達しないことがポイントだ。また、養成機関が行う面接対策の質にはバラつきがあるように思う。その点、個人的には直前に観たYouTubeがかなり役立った。特に口頭試問はあまり情報がない中で貴重だった。「国家資格キャリアコンサルタント」「面接」「ロープレ」などでヒットする動画のうち養成機関がアップしている気になるテーマを視聴しておき、ポイントをメモしながら、練習に反映させるのがいい。私の場合は試験直前にその存在を知ったため、もっと早い時期に視聴し、練習を重ねられていれば本番でもっとうまく対応できたのに、と悔いが残った。基本的な傾聴や関係構築ができていても、見立てや展開、口頭試問対応は訓練でしか磨かれない。「NGワード」や「失敗パターン」「口頭試問対策」などは正直YouTubeの方が良くまとまっている。ポイントを頭に入れ練習、をどれだけ繰り返せるかが本番に出てしまうので、早めにポイントを理解することが何より重要だ。今思う、ベストな受験対策は以下のとおりだ。

受験生の方へ

国家資格キャリアコンサルタントの試験は絶対評価だ。他の受験生は関係なく、自分が合格ラインをクリアすれば絶対に受かる。受験した回によって難易度や傾向が変動するという運の要素もあるが、「適切な方法×適切な努力」で準備すれば合格ラインは超えられる。スケジュールを立てて実行し、仕事や家庭のことなど変動要素があれば優先順位をつけながら対応し、勉強の絶対量を確保してほしい。今回紹介したものは私の事例に過ぎないし、人それぞれ得意不得意や経歴、状況もまちまちなので、うまくカスタマイズして自分なりのベストな対策をしてほしいと思う。
努力したことは決して人生の無駄にはならないので、自分を信じて前に進んでください。より良いキャリア形成が行える社会を、一緒に作っていきましょう。


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