心に残る、東武東上線のキャッチコピー
東武東上線は、東京の池袋から埼玉県方面に伸びている私鉄の路線である。2021年8月と12月、この路線に乗る機会があったが、その際に心に残るポスターのキャッチコピーがあった。
8月 「なんだかんだ 対面がうれしい、たのしい」
「なんだかんだ 対面がうれしい、たのしい」。
これは、日光・鬼怒川への観光誘致に向けたポスター。貼られていたのは8月で、新型コロナウイルスの感染者数がピークを迎えていた時期だ。
こんな中で「対面がうれしい たのしい」というなんて、よほど勇気があるなあ、と衝撃を受けた。
(実際、自分はのっぴきならない用事があり埼玉県に行ったのだが、観光はまったくせずに帰った)
ただ、よくよく見てみると、このポスター内で対面になっているのは、女性とお地蔵さんなのである。
「対面というのは、人間同士だけのことを言うではない。一人旅で来たとしても、誰と会わなかったとしても、そこで”会う”ものがあるのだ」
たぶん、そんな意味合いが含まれているのだろう。
12月 「どれだけ雨がつづいても この世界はいつだって美しい」
続いてはこちら。12月に見たポスターである。
「遠くまでわざわざ食べに行く。そのわざわざがおいしい」
旅行にいく。旅行って、その非日常の時間じたいが味わいなのだ、ということを、シンプルにうまく表すなあ、と感心した。
「どれだけ雨がつづいても この世界はいつだって美しい」
雨が降ると、旅に行くモチベーションが下がりがち。でも、このキャッチコピーに合わせて雨に濡れて風情があるお寺の写真を出すことで、雨の日ならではの美しさがうまく伝わってくる。
「帰りたい」は、「会いたい」です
「帰りたい」は、「会いたい」です。
「帰る」という言葉の中には、そもそも、馴染みの人に会いたいという気持ちが含まれている。このキャッチコピーもうまくそれを表している。
ただ、これは、このコピーだけだと、帰省して親・家族に会いたいという意味に取られるだろう。なので、
「あの女将の「おかえりなさい」を聞くためだけに、あの寒い山里へと帰る。そんな旅があってもいい」
という補足がついている。
もっとも、このポスターに関しては、電車の写真ではなく、おそらく雪景色の中で出迎えてくれる女将の写真などを入れたほうが、ニュアンスがうまく伝わるんじゃないか、という気がした。
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