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【読書メモ】『自分の謎』

ほぼ毎日投稿11日目。ギリギリですが、今日も無事に投稿できました。

さて、本日は最近読んだ本についてご紹介します。

『自分の謎』(ちくま文庫)
著:赤瀬川原平

前衛美術家・漫画家・芥川賞作家である赤瀬川原平が晩年に遺した「こどもの哲学 おとなの絵本」シリーズのうちの1冊。簡潔な文章と味のあるイラストで、「自分が自分であることの不思議」を問いかける内容になっています。

私はこれまでに著者の本『外骨という人がいた!』(ちくま文庫)、『新解さんの謎』(文春文庫)を読んだことがあり、赤瀬川原平さんに対して、なかなか面白い切り口から文章を書く人…というイメージがあって、本屋さんでこの本を見かけたときに「赤瀬川原平の本だ、面白そう!」と思って手に取りました。

ちなみに、この本は全部で120ページちょっと。絵本形式ということもあり、人によっては30分かからずに読みきれる本です。
一瞬、「頑張れば、本屋さんでの立ち読みでいける!」とも考えたのですが、私の場合、1ページ1ページ、噛みしめるようにゆっくり読みたいと思い、購入に至りました。

この本では、鏡に映る自分や、痛み、国境・境目、存在・居場所、強さと弱さなどから、「自分とは何か」を問いかけてきます

例えば、
「手は切ると痛い。それは、手が自分の一部だからだ。
でも、爪や髪の毛は自分の一部なのに、切っても痛くないのは、どうしてだろう…」
といった感じに。

改めて言われると、「確かにそうだな」と思うことも多く、そういった視点から「自分とは?」を考えたことがなかったので、「そういうものの見方や捉え方もあるのか」と、この本を読んでいて、視野が広がる…というか、思考の幅が広がる感じがしました。

また、この本は「あとがき」もなかなか面白く、「本の読まれ率」について書かれています。
”本が売れたからといって、その本が本当に読まれているのか?”

文章や本というのは、農業みたいなものだと思う。形のいい物を作っただけでは何にもならない。それがちゃんと食べられて、食べた人の体内で分解されて、身になってこそのものだと思う。本当にそうなっているかどうか、というので読まれ率が気になる。

それで、「読まれ率」が気になり、しっかり読んでもらえる本を…ということで「大人の絵本」の形式で、この本ができたらしいのです。

なるほど。

本編からもあとがきからも、独自の視点で物事を見ている赤瀬川原平さん。
他の「こどもの哲学 大人の絵本」シリーズの本もそうですが、彼の他の作品もまた読みたくなりました。

物の見方や思考の幅を広げたい人はぜひ。

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