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SPRESENSEを用いた海洋IoTシステムの開発

はじめまして、株式会社 MizLinx エンジニアの嶋田です。
今回の記事では、SONY 社の省電力マイコンであるSPRESENSE を用いた IoTシステム の開発について紹介できればと思います。

【背景】

地球温暖化の影響で海洋環境は変化しており、養殖業者の培ったノウハウが通用しなくなってきている上に天災などによる被害も増加しています。養殖業の業務効率改善と損失回避を手助けするため、MizLinx では養殖場の動画を含む環境情報をリアルタイムで取得するシステムを開発しています。

MizLinx Monitor フロート無し_トリミング

(水上側デバイス)

これまでに1 ヶ月以上にわたり太陽光発電を行いながらセンサデータの取得を行い、定期的にクラウドへの送信を行うデバイスの実証実験を長崎県の養殖場などにおいて行ってきました。また、送信した映像と温度のデータをスマートフォン上で確認する一連のシステムも完成しています。

たちばな湾2

たちばな湾_設置

(実証実験機体の設置風景)

しかし、広く普及するような製品レベルまで押し上げるには電力マネジメントなどの改善点があります。
海上では外部電源がなく電池を用いることになりますが、1次電池は定期的に交換が必要になってしまいます。一方、太陽光発電パネルを用いた方式ではパネルの大きさに制約があるため、安定して長期間運用するには省電力のデバイスが求められます。

↓参考記事(海洋IoTの難しいポイントをまとめています)

 【内容】

上で述べたように MizLinxでは長期間安定して、各種センサデータを取得しクラウドサーバに送信する一連のシステムを開発しています。IoT システムを一から作製するのは開発工数やコストが大きく嵩みがちです.しかし、SPRESENSE はセンサ情報を取得に用いることができるインターフェースとして I2C と UART を備えています。また、開発コストがかさみやすい LTE に関しても純正で LTE 拡張ボードが販売されており、サンプルコードもあるため使いやすいです。さらに、省電力であるため IoT システムのマイコンボードとして適しています。
実際に I2C と UART を用いて取得しセンサ情報を LTE でサーバに送信する動作をSPRESENSEで実験し、消費電力を計測したところ既存のものの1/3程度でした。

実験途中でバグが発生した時にも SONY さんにサポートして頂き非常に有り難かったです。

今月の note はここまでです。それでは来月もよろしくお願いします!

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