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【鑑賞】坂元裕二 朗読劇2021 『カラシニコフ不倫海峡』

2021年4月15日(木)13:00〜
よみうり大手町ホール
¥6,800

この朗読劇は去年の企画だったけれどコロナで中止になり、今年改めて開催となったものだ。
去年はチケットが取れず涙を飲んだので、アタシにとっては仕切り直しになって有難かった。今年は何とか1公演、ゲット出来たしね。

このブログは観劇・ライブメモがメインなのであまり触れていなかったけど、実はワタクシ千葉雄大FCに入会しているのである。
『おっさんずラブ -in the sky-』にどハマりしたことは何度か書いたけれど、ドラマ終了後もどハマりしたまま1年半が経ってしまったのだ。ドラマに登場するカップル、成瀬と四宮が好きすぎて成瀬を演じた千葉くんのFCに入会し、四宮役の戸次重幸氏のFCにも入会してしまったのであった。(厳密には戸次さんのFCではなく、所属事務所まるごとのFC)
おふたりとも演じた役をまず好きになったけど、その後他の作品やらトーク番組やらで見せる役者としての魅力や為人に惹かれて。人間としておもしろい、興味深い方々なのよね。

とまあそれくらいに千葉くん好きになったので、この朗読劇は当然行きたいところ。朗読劇で6800円という強気な価格設定だけど、さすが人気俳優+人気脚本家、FC抽選もプレイガイドもハズレ。オフィシャル先行でやっと当選した1枚!
14日だったら誕生日だったので、さらにスペシャル感なんだけどなあ。そこまではもう贅沢言いませんわ。

※ネタバレ注意

<あらすじ>
平凡な夫婦だった。
ある時妻がアフリカへ地雷除去のボランティアに行くと言い出した。
数ヶ月後、妻は少年兵の持つカラシニコフに撃たれて死んだ。

男が悲劇の夫として注目を浴びた時、見知らぬ女から手紙が届く。
〝あなたの妻は生きています。
アフリカの地でわたしの夫と暮らしています。
わたしたちは捨てられたのです〟
男は真偽を確かめるため、女と待ち合わせる。
互いの伴侶が密会を繰り返していた円山町。
ホテルの名前は、『カテドラル』。

残された男と女が今、雑居ビルの谷間の海に溺れてゆく。
公式サイトより

初めて来たホール。読売新聞本社ビルの中にあって、木製の壁や天井、座席がクラシックで落ち着いた雰囲気。立派〜さすが〜。2014年にオープンしたそうで、新しくてきれい。
一階ロビーに横山大観の大作があったと後から知って、見ておくべきだったと後悔。あんなとこまでなかなか行く機会ないのになあ。やはり何事も下調べは大切だわ・・・。

板の上にはひとり掛けのソファがふたつ、たっぷり間を開けて置いてある。
ほぼ定刻に客電が落ち、下手からおふたりが登場。端っこだけど前の方の席だったので、ちゃんとお顔が見える! ここ数年でめっきり目が悪くなったけど、裸眼でなんとか判別できるので嬉しい。

公式サイトにあらすじが載っていて、読んだはずなのにきれいさっぱり忘れていたアタシw(下調べとは)どんなお話なんだろ〜〜って、ある意味ネタバレや予備知識ゼロで臨めたのは良かったかも。
全編がメールのやり取りで綴られるものがたり。最初に田中史子から待田健一へメールが届く。
淡々とした出だしで、(何? この女アヤシイ、何者?)となり、少しずつふたりの状況がわかってくるたびに男の方がヤバく思えたり、やっぱり女のほうがおかしい?と先が読めなくてくるくる印象が変わる。


情報のやり取りをするためふたりはラブホテルで密会する。
「カテドラル」の301号室。伴侶に不倫され置き去りにされた者どうしが、アフリカにいる伴侶のことを思いながら目の前の人間と触れあう。どんな気持ちだろう。どんな地獄だろう。
密会を重ね、だけど最後の一線だけは超えずにいた訳とは。社会規範上のことなのか、ふたりの中の特別なルールなのか、それを守って表立って会うことはせずに逢瀬を画策する。同じ日の同じ映画館で同じ回の映画を別々に見て、帰宅後に感想をメールし合う。

感情の幅を抑えた演技で、いったい彼らがどんな気持ちなのかを読み取るのが難しい。そういうストーリーなんだけど。終盤にさしかかるころにふたりが気持ちをぶち撒けてからの件(くだり)が最高にハラハラどきどきワクワクした。
独特の言葉の使い方がおもしろくて、やっぱりドラマっぽい。ドラマになったらこんな感じだろうか、という映像が脳内上映されるシーンがちょくちょくあった。固有名詞や身近な地名が特にリアルに感じるせいかな。
円山町とか百軒店(ひゃっけんだな)の描写も、ライブジャンキーには馴染みの土地なので「あー、あの辺ね」となったりして。本当にカテドラルって名前のラブホあるのかな〜などとおもってしまった。

展開が気になってすごく入り込んで聞き入ったけど、アタシの劣化脳では記憶があやふやだし理解力もおぼつかない。史子の言った「わたしは詐欺師」というのはどういうことなのか、どこからどこまでが嘘なのか。
夫は最低なDV野郎なのに史子はそいつのどこが好きなんだか判らないし、健一の妻も不倫して何年も消息を絶っていたのにしれっと帰ってくるなんて気がしれないし、判らないことだらけ。
気になるからやっぱり戯曲を買おうか、図書館で借りて読もうかなあ。

抑揚を抑えた低い声で語る千葉くんの声は、これまでドラマや舞台で聞いたのとは違う音色だ。その低さや太さ、まろみのある振動で、とても心地の良い響きだった。例えるなら柔らかい重みの弦楽器の音。チェロを弓で弾いた時の感じに近いと思った。(個人の感想です)
実は千葉くんの声をいい声だと思ったことはなかったんだけど、この朗読を体感して初めて良いと感じたのは嬉しい発見だった。

対する芳根京子さんは、実は名前ぐらいしか知らなくて。経歴をざっと見たら出演作をほぼ見ていなかった。リーガルハイのSPに名前があったけど、主要人物じゃないのか記憶にない・・・
過不足なく演じていたとおもうけど、やはり若すぎるかな。艶かしさという点では物足りない。ちょっとまだ青いというか、生硬な感じ。
感情が乗り過ぎてしゃくりあげていたのも、もうちょっと抑え気味のほうがよかったな。アタシの趣味的に。もちろん好感は持てたのだけど、抑えて抑えきれなくて・・・てのが佳いのよね。

芳根さんはボロ泣きだったけど、千葉くんはすっと一筋涙をこぼしたそうな。
いや、それアタシには見えなかったんだけど! 見たかったよ!! やはりこの目か・・・。目が悪いのって致命的〜〜(号泣)

SNSでも色んな人がわーきゃー言ってるけど、3本の作品で一番、この『カラシニコフ〜』がオトナな内容だったらしく。まあ不倫ってタイトルだから予想はできたけれど、あんなかわいらしいお嬢さんの口から“セックスが上手い”とか、千葉くんのおちょぼ口から“射精した”とか聞くとドキッとしちゃうよね。アタシだけじゃないよね。

まあ、という訳でめっちゃ堪能した朗読劇。
役者の良さもあったうえで、結局はホンの良さだねえ。それを実感したところで、のこりふたつの演目も聞きたかったし、別のキャストでも体感したかったなあと。
高橋一生/酒井若菜 Ver. と風間俊介/松岡茉優 Ver. が特に気になる。
この朗読劇はキャストを変えて何度か上演しているらしいので、また来年あったらチェックしてみよ〜〜♪



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