ジレンマという不思議

カウンセラーって仕事をしています。

私が初めて心理学ぽいものに触れて感動したのは、中学生の頃。

社会だったか道徳だったか国語だったか理科だったか、なんの教科書かは忘れたけど、その教科書のコラムのようなところに「ジレンマ」について書いてあった。

中学生の頃、2つの選択肢があった時、私はいつも選んだ後に、選ばなかったもう一つの方が良かったように思えて、選んだことを後悔をするタイプだった。

だから選択をすることに躊躇いもあったりしていて、何かを選ぶってすごく難しいと思っていたような気がする。

で、その教科書には、ジレンマには3種類あるって書いてあった。

一つ目は、どちらも選びたいがどちらか一つを選ばなくてはいけない時

うん、わかる。どっちもやりたかったり、どっちも好きだったり、どっちも手に入れたいけど、一つしか選べないときってある。これはわかるって思った。

二つ目は、どちらも選びたくないけれど、どちらかを選ばなくてはいけない時。

どっちも嫌だけど、やらざるを得なかったり、どちらかマシな方を選ぶってのはあるよな、確かにって思った。

三つ目、中学生の私はジレンマっていうのは、上のふたつしか考えたことがなかったからすごく驚いたことだった。大人になった今は、もしかしたらこのジレンマが大人は一番多いんじゃないかって思う。

その三つ目は、選んだことで、別の選びたくないことがついてくる、というジレンマ。

中学生向けの説明には「志望校に合格したいが、勉強しなくてはいけない」って書いてあったような気がする。

そう、ジレンマって2者択一だけじゃない。

子供の頃は、好きなことには、好きなことだけが付いてきた。

大人になると、好きなことには、その好きを消し去ってしまうかもしれないほどの苦痛がついてくるようになることを知る。

だから大人になると「好きだけじゃだめだ」とか「好きでも無理なこともある」とか言って、好きを諦める癖がついてしまうんだ。

だからそんな時には、普遍的にしてしまえばいい。

「普遍的」は「極めて多くの物事にあてはまるさま」「すべてのものに共通しているさま」ってこと。

好きなことをしようとした時に、何かしらの苦痛や困難や諸々が付いてきて、行うことを迷ったりもがいたりするのは「ジレンマ」なんだから当然だって解釈をしてしまえばいい。

特別なことって思うと、すごいハードルが高くなるけど、誰が言ったかわからないけど、中学生の教科書に書いてあるくらい、その葛藤は「ジレンマ」っていうやつで、起こって当然の葛藤なんだって思えば、

「きたな、ジレンマ」って迎え入れてやればいい。

大人になってから「好き」って感情が湧かなくなっているのなら、それは多分「好き」を優先するってことを忘れているからかもしれないから。


第三のジレンマに衝撃を受けた中学生の頃から数十年。今の私が2択で後悔をしなくなった理由と方法がある。それはまた今度。


水野順子