002 黒鳥との日々 DAYS WITH BLACKBIRD
002 黒鳥との日々 DAYS WITH BLACKBIRD
20才を超えたころ、ほぼ、毎日のように、新宿歌舞伎町を、ふらついていて
その横には、いつもだいたい、ヨウコという子がいた。
ヨウコは、ニューハーフだったんだけど、なんか、かわいいから、べつに、なんとも思わなかった。
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そのころは、ぜんぜん、金がなくて、まあ、これは、今もなんだけど、
とにかく、ヨウコは、なんでも、かんでも、お金だしてくれるので、正直、超楽ちんで、
いやー、これは、いいもんだねえ、などと、へらへらしてた。
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たまには、ヨウコの働いているお店に、一緒にいったりして、
そこでも、みなに、よくしてもらえるから、ますます、いやー、これは、いいもんですなあ、
と、さらに、へらへらしてた。
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ある日、ふたりで、居酒屋か、なんかにいると、僕は、基本、ほけーっと、まったく違うこと考えてるんで、
ヨウコのはなしも、聞いてるふりで、まったく聞いてなくて、たまに、ヨウコは、怒って先、帰っちゃって、
残された僕は、金、もってないから、すきを、見て、全力で、無銭飲食して、新宿の街を、逃げ走ったりして。
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冬の夜、いつもように、ふたり、腕なんか、組みながら、ふふふ、ふふふ、と、歩いていると、
なんか、少し怖いひとに、からまれたりして、やばいなあ、これは、勝てないなあ、とか、思っていると、
ヨウコが、その怖いひとの、耳元で、なんか、言うと、そのひと、急に態度を変えて、去っていったりした。
なんか、ヨウコは、そのあたりの、怖いひとの、そのさらに、上のひとの、ご家族かなんかだったみたいだね、
ますます、おお、ヨウコ、こころ強いねえ、などと、思っていた、自分のバカさかげんが、愛おしい^^;
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そのうち、季節はめぐって、ヨウコにも、別の、お気に入りのひとが、出来たみたいで、
いつのまにか、僕の横には、いなくなっていて、
ふふ、ヨウコ、楽しかったね、なんて、思いながら、それでも、ま、あんまり、かわらずに、
僕は、新宿歌舞伎町を、ひとり、ふらふらと、歩いてた
金は、ないから、べつに、なんにも、出来ないんだけど^^;
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歌舞伎町は、せまいから、たまに、ヨウコと、なんかホストみたいな新しいヨウコのお気に入りと、
すれ違ったり
そんなときは、僕たちは、なんとなく、目をあわせて、お互い、ふふ、って顔してた。
すると、通りの角を、まがったあたりで、ヨウコだけが、走ってきて、
大丈夫?ちゃんと生きてる?とか言って、1万円とか、僕のポケットにつっこんで、また、ホストのとこに戻ってゆく
僕は、おお、ラッキーとか思って、全力で、喜んで、その1万円を、もらう
男のプライド?
ないね、おれには、ない
ああ、ない
あははははははははははは^^
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002 黒鳥との日々 DAYS WITH BLACKBIRD
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MIZUHO 20210711
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