共有する

 引っ越してから11ヶ月。私はルームシェアをしている。最近よく同居人と夜に近所を歩いていて、やっと、住んでいるまちに少しだけ詳しくなった。私は地理に疎いタイプで、同居人は地理に強い。私たちは昨夜も歩いて、やっと道の繋がりが見えてきたと話した。そして彼女は、家に帰ってから近所の地図を書き始めた。それを向かいで見ながら横槍を入れた。ここはこうだったね。とか、今日はこの道を通った、そしてここに寄って、ここを歩いて、と道を辿った。彼女が、ここが通っている病院だと言えば、私は、ここが通い始めた美容院だと地図に示す。2人の地図には、行ったことのあるお店などが書き足され、まだ行ったことのない彼女の行きつけを知る。

 とあるコンビニに行こうとすると、この前同様、また手前で雨が降ってきた。家のほうへ引き返す。そうすると雨は止む。私たちは晴れ女のはずだから。そうして線路の下を横切るときに、雨が止んだねと言うと、ここは屋根があるからねと言われて、いやそうじゃなくてさ。と話して。一度家に帰って、買いそびれたあのスイーツを買いに、同じ系列の別のコンビニに走る。物理的に走り、着いた頃には息をきらし、売り切れていたスイーツに悪態をついて、飲み物を飲みながら見たことのある道を通って家に帰る。こんな夜も悪くはないね。と、一緒に歩いたラーメンに言うと、曖昧な顔の店主が笑う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?