夜道を歩いていた。夜道と言っても、それらしい暗さというだけでまだ夕刻と呼べるくらいの時間だ。道には少年が座っていた。少年は、いかにも少年らしい年頃で、野球よりはサッカーをやっていそうな風貌である。少年は、道でバスケットボールを蹴り始めた。道に向かって、バスケットボールを蹴っている。私は道をただ歩いている。私たちがいるのは同じ道だ。少年にはこの道がどう見えているのだろう。私の歩くこの道はどこに繋がっているのだろうか。同じ道だ。同じ道だけれど、どうやら先の道は違っているようである。

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