私のホクロが黒い理由

 あなたはまだ気がついていないのかもしれない。ホクロの本当の機能に。

私のホクロには視力がある。最初は少し微睡んでいるような、夢をみているような、そんな見え方だったが、何度も試して鍛えているうちに、目を閉じていてもそこにあるものが何か判断できるくらいには、その力を活用できるようになった。ホクロはどんなホクロにも機能がある。中にも、五感を司るホクロは多い。私が自分の体や、周りの人の体で試したところ、嗅覚や聴覚をもつホクロは、割と多いということもわかった。

最初は微かな感触しか得られない。だけど意識してそこに集中しているうちに、明確な機能を発揮できるようになる。じゃあ何故今までそのことが話題にならなかったのか。それは、私たちが目や耳や鼻に、絶対的な信頼を持っているからだ。そして、使わないと力は衰えたり発揮できなくなったりするようになる。そうしてこれまでホクロのパワーは、無意識のうちに抑えられてきた。

 だけど本当にこのままでいいのか。私は疑問に思う。こんな力を、活かさなくていいのか、と。果たして私たちの目や鼻や口は、ホクロにどれくらい勝っているのだろうか。それもよくわからない。どちらも存在しているのだから、どちらも大切なものなのだと思う。

 私は、この事実がまだ身内にしか知られていない今から、様々な可能性を考えている。ホクロエネルギーは、未来の文明のためのエネルギーにさえ成り得るかもしれない。エネルギーの変換技術さえ伴えば、それも可能になることだろう。人一人の体にはホクロがいくつもあることくらいは常識であるように、そのエネルギーの使い道には大きな期待が持てる。

 勿論、五感やその他機能そのものを最大限に活かすという方法もある。ホクロエネルギー分野はまだ研究者もなく、解明されていないことが多い。私の体一つとっても、何かしらの力はあるが、それが何なのかまでわかっていないホクロが多数ある。

そのため、ホクロエネルギーがテロ等に利用される恐れも大いにあるので、発表の方法やタイミングは慎重に見極めたい。しかし、非常に大きな可能性を秘めた分野であることは明白なため、今後、研究者が育っていけるようにもしていきたい。

 体から切除した場合のホクロの効果や、動物のホクロのパワーなど、今思いつく範囲でも調べることは沢山あるように、眠れない日々を過ごしている。

 ホクロエネルギーなんてある訳がない。あなたは思うかもしれない。調べてもいないのに、常識的に有り得ないと、言うかもしれない。だけど現にここにあるのだ。地球が青いように。そして丸いように。確かにここにあるのだ。そしてきっといつか、ホクロエネルギーも常識になる。誰もが、月に兎は棲んでいないことを知っているように。

 だけど、昨夜の夢のようなことは、起こってほしくないとは思う。知能を持つホクロエネルギーが、総てのホクロエネルギーを操り、生命体に反逆をしかける。そんな、どこかで見た安っぽいSFみたいなこと。そういうことは、面白くないから、起こらなければいいなと思う。

 無闇なホクロの売買や、闇取引、そういうものも生まれてしまうのかもしれない。文明は、発展と破壊を存分に含むものだ。核兵器だって、いつかは作られてしまうだろう。

 だけど、そんなことに今から嘆くことはない。嘆くべきは、今既に存在している核兵器や戦争やウイルスのほうだ。今正に起きているテロのほうだ。AIが人間を超えてしまうことのほうだ。だから、嘆くことはない。

 なんて、こんな話をしたのはね、あなたがコンプレックスだっていう、その鼻頭のおっきいホクロを、ちゃんと愛していけるように。

あなたがぐっすり眠れる日まで、ホクロエネルギーを探し続けるからね。だからもうずっと大丈夫。

おやすみなさい。またあした。