私声

 私の人生はナレーションベースだ。いつだって主役は私だけどどこかで知らない思惑が絡み合っている。頭の中でいつも私を語っているこの声は、一体誰の声なのだろう。

ひとりごとを言う回数が増えたけれど、口に出そうが出すまいがそれはただのナレーターの声で、私の意思ではない。「こうやって今日もまた言葉を濁すのだ」私の口が喋ったけれど、別に考えて喋った訳ではない。「頭の中の自分に言い訳をして、それなら己とは一体何のことを言うのだろうか、そんなこともわからない」そう、わからないのだ。わからないから不安で泣くのなら、それは赤子と同じなのではないか。大人の涙は、知ってしまった涙ではなかったのか。

「これも私だ。いい加減、受けいれないと」私は私とあまり馬が合わない。好きだし嫌いだ。これからもずっと一緒。だからやっぱりどうも苦手だ。「せめて自分に対してくらいはもっと素直になれたらいいのにな」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?