あそび

 恋愛ソングを歌っている人は恋に執着しているけれど、愛には興味なんてないのよ。
そんなことを言った彼女は、今頃どうしているだろうか。触れていたときの体温も忘れて、ここに残っているのは細々と置いていった不可解な言葉達だけだ。会いたいから会いたくないだとか、痛いうちは苦しくないのとか、ちゃんと嫌いになりたいからとか。今になると苦しいと思えるのに、あの頃の僕には難し過ぎて、考えることすらしなかった。ただ好きとか愛らしいとかそれだけで、ずっと続いていくと思っていたし信じていた。それだけじゃどうにもならないことがあるのはもうわかってしまったけれど、それでもその理由はまだずっとわからないままで虚しい。

 好きだと言うときは泣いていて、嫌いだと言うときには楽しそうな顔をしていた彼女は、僕のつく嘘が好きで、僕の言う本当が嫌いで、ただそれだけだった。ただそれだけの関係だった?なんて、誰に聞けばいいのかを聞く相手もどこにもいないから、冬は切ない。だけど続く。

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