平々凡々

 色の無いゴールデンウィークの先の今日に買って帰るのは牛肉だ。それに鮪の赤身の切り落としも買った。刺身用の魚に火を通すことになんの罪悪感も感じない。鮪が刺身になるために泳いでいたのか否か、私は知らないからだろう。手で割いて炒めたエリンギは、炒めたエリンギ味だった。肉に敷いたキャベツの千切りは、肉に敷いたキャベツ味だった。そんなの当たり前だ。買って帰った厚焼き玉子は妙に甘い。砂糖が好きな私にも尚甘い。それにも理由なんて無い。きっと無いのだ。私が泣くのだってそうで、泣かないのだってそうだ。理由なんてないのだ。寂しくたっていいじゃないか。頼むから放っておいてほしいのにな。それなのに、それだけじゃあ物足りない。

 血を止めるための薬の副作用による地味な出血とか、まぁ、うん。そうだよね。仕方がない。ああまぁ、うん。今日だって視界のその先は汚いね。

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