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1.国民年金は保険の主契約 厚生年金保険は特約

ご訪問いただきありがとうございます。

社労士試験の学習をしているあなたは、「年金の2科目は、他と比較して格別に難しく、基礎からしっかり説明してくれるテキストがあれば・・」と感じたことはありませんか。

このnoteの目的は、社労士を目指している方が、年金2科目のテキストに書いてあることを理解できるようにすることです。
社労士試験最大のヤマ場であろう年金制度の基本となる考え方や、なぜそのよう仕組みなのかを主眼に解説します。

noteは全部で9つあります。
全部読んだあともう一度、受験テキストを読んでみてください。
難解だった年金がすっきり頭に入るようになります。
今回のノートは第1回目です。


(1)年金は保険

「若い時にせっせとお金を払って、老後にお金を受け取る」
年金に対する一般的なイメージです。
これは貯蓄に近いイメージです。

けれども、年金は貯蓄ではありません。
年金の本質は保険です。
保険なので、保険料をきちんと払えば、老齢・障害・死亡といった事故のとき、年金という保険金がもらえます。

老齢とは65歳以上になり、働けなくなったため収入がなくなるという「事故」です。
歳を取ることを一般には事故とは言いませんが、年金上ではそのように捉えると分かりやすいと思います。
老齢で受け取る年金は、一般的な年金のイメージどおり、若い時の保険料をせっせと納めて、老人になると年金をもらうというものです。
一般の保険の満期返戻金や積立貯蓄に似ています。

障害とは原則65歳になる前に障害者となり、収入がなくなるという事故です。

これは一般的な事故という言葉で捉えやすいと思います。
障害という事故に対して、年金で収入を保障します。
保険というイメージに最も近い年金制度です。

死亡は文字どおりです。
年金に加入している人の死亡により、遺族の収入がなくなるという事故です。
残された遺族には、年金が支給されます。
遺族に支給される年金は大きく2種類あります。

1つは、現役世代の方が亡くなった際、遺族に支払われるパターンです。
これも保険のイメージに近い補償です。

もう一つは、老齢の年金をもらっている人が亡くなった際、遺族に支払われるパターンです。
配偶者がもらうケースが圧倒的多数です。
残された遺族の生活保障の意味合いもありますが、亡くなったご主人が作った年金を奥様が引き継ぐという仕組みのため、遺産相続にも似ていると思います。

以上が年金のおおまかな補償内容です。
表にまとめると以下のとおり。

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(2)国民年金は保険の主契約 厚生年金は特約

日本の年金制度は、国民年金と厚生年金保険の2本立てです。
(社労士試験の範囲でいうとですが・・)
これを一般に2階建て年金という言い方をします。

1階部分は国民年金、2階部分は厚生年金保険です。

この構成は、自動車保険の主契約と特約の関係に似ています。
1階の国民年金が主契約、2階の厚生年金保険が特約です

自動車保険は、対人・対物などの弁済実額を補償する主契約のほか、例えば、レッカー補償、弁護士費用補償など、
更に保険料を増額すれば特約の保険にも加入できます。

これらと同じように、2つの年金制度を考えると主契約である国民年金は、広く国民に対して3つの事故への最低限の保障を行うというコンセプトで作られています。

一方特約である厚生年金保険は、更に保険料を支払うことで、払った人に対して、3つの事故に対する補償額を厚くする制度です。
一般的な自動車保険同様、主契約である国民年金に加入せず、特約である厚生年金保険だけに加入することはできません。

同様に、2階部分の厚生年金保険に加入している人は、原則として1階の国民年金にも加入しています。

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ちなみに、国民年金の制度では保険料を納めるときは「国民年金」、年金を受け取るときは「基礎年金」と言います。


(3)保険料の納め方は3通り

年金制度に加入して、保険料を納めている人を被保険者と言います。
また、年金をもらっている人のことを受給権者といいます。

この国に住む大人は、国民年金の被保険者として、国民年金に加入しなければなりません。
国民年金に加入のうえ、保険料をルールどおり納めていると、老齢・障害・死亡といった事故のとき、受給権者となり老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金という保険金が支給されます。

では、どのようにして保険料を納めるのでしょうか。

20歳以上の自営業の方、学生の方、無職の方などは、毎月約17,000円ほどを自分で納付します。
銀行窓口や引き落とし、コンビニ払いなどの支払い方法があります。
このような方々を、第1号被保険者といいます。


民間企業に勤めるサラリーマンは、国民年金に加えて、さらに厚生年金保険にも加入しています。
保険料は、給与や賞与から厚生年金保険料として天引きされています。
厚生年金保険料を天引きされていることで、同時に国民年金の保険料も納付していると見なされます。

彼らは、国民年金・厚生年金保険という2つの制度に同時に加入しているため、老齢・障害・死亡の事故の際、基礎年金と厚生年金の両方から年金が支給されます。
サラリーマンだけが、厚生年金保険という特約と合わせて、2階建ての保障で守られています。
このような方々を、第2号被保険者といいます。


サラリーマンに扶養されている配偶者の方(一般的には夫の扶養されている妻)は、実質国民年金の保険料を支払っていません。
しかし、配偶者(夫)が支払う厚生年金保険料にて、妻の分の国民年金保険料を納めていると見なされます。
したがって、この方々も老齢・障害・死亡の事故の際は、それぞれの基礎年金が支給されます。
このような方々を、第3号被保険者といいいます。

日本の年金制度は、主に職業により3種類に分類されています。

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(4)人生の節目で第1・2・3号は変化する

大切はことは、こういった被保険者種別は、人生の節目で変わるということです。
就職・退職・転職・結婚・離婚などをすると、それに伴って、第1号~第3号までの被保険者の種別も変更になります。
例えば、会社を辞めたら、厚生年金保険の被保険者ではなくなります。
しかし、国民年金の被保険者ではあり続け、第1号被保険者として、毎月自分で国民年金保険料を支払う義務が発生します。

厚生年金保険は、サラリーマンだけが国民年金にプラスして加入しますので、人によって加入年数が異なります。
サラリーマンとして働く年数は、人によって全く違うからです。

いっぽう、国民年金は、日本に住む人全員が20歳以上60歳未満の期間加入します。

人生のなかで、どのような職業や境遇にあったとしても、国民年金の被保険者として、第1・2・3号いずれかの立場で保険料を40年間の納付しなければなりません。

だから、保険料ずっと払い続ける国民年金が本契約、厚生年金保険は特約いうイメージなのです。 

(5)最後にまとめ

1)年金は保険です。
国民年金は全員が加入する1階部分、厚生年金保険は企業に勤めるサラリーマンが更に加入している2階部分です。

2)第1号・第2号・第3号被保険者
国民年金・厚生年金保険に加入し保険料を支払っている人のことを被保険者といいます。
国民保険の被保険者は、主に職業により分類された第1号・第2号・第3号保険者と、任意で加入している任意加入被保険者がいます。

3)1~3号は人生のなかで変化する。
就職、退職、結婚、離婚、海外移住など人生の転機に、国民年金被保険者種別は変化します。
国内に在住していれば、20歳以上~60歳未満の40年間、1~3号いずれかの被保険者であり続けます。

今回のnote 
社労士試験 年金がわからない人へ 1
年金は2階建ての保険
1.国民年金は保険の主契約 厚生年金保険は特約


は、これで終了です。

次回のnoteは

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