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「他のデイで問題を起こしている利用者の受け入れをするのは不安」

60代男性、他のデイサービスをトラブルで点々と変わり、現在は2か所のデイサービスに合計週3利用で通われている方。問題が起きると他のデイに行ってみるという対応をしていたが今は同じデイで曜日を変えて対応しているが、また難しくなってきたので新たに探している…といった内容。

スタッフからしたら関わりたくないと思うのは当然かもしれないですが、受け入れできません、を言えないのが介護保険で行うデイサービスでもあります。でも出来ればうまく受け入れ出来たらなといったときに思い出したいこと。


問題ありと言われる利用者様を受け入れるにあたって注意点

 1.受け入れ前にこの施設で出来る事、出来ないことをはっきりさせておく。

1人特別で他の利用者様が我慢しなければならないとなると全員にとって居心地の良い場ではなくなってしまうので、施設のやり方とずれ、一人だけ特別扱いになることはしない。本質的に出来ないことを要求された時はうやむやにせず丁寧にお伝えすることが大事

いい加減に返答してごまかしてしまうというのはそもそも相手の方に失礼ですし、その行動をほっておく、ということは認めたという事なので結果他の方やスタッフが困ってしまうことになってしまいます。

 2.他事業所で問題行動があったからと言って確実に当社に来たからと言って問題を起こす人とは限らないと思っておく。

あそこの事業所すごく暴れたり、怒鳴ったりしていたのに、ここでは穏やかでそんな姿は見られないという事もあります。

なんで?と思ったら結構当たり前な理由だったりします。

認知的にといった特別な対応が必要な場合を除いて、問題行動と言われる方の言われることは特別無茶苦茶な事を言っているわけではなかったりします。

 -問題行動と言われた例と原因

①「お茶時間に問題Aさんがいきなりコップを投げて利用者Bさんに怒鳴りだした。」こわ~。
怒った理由 Bさんが、おとなしい利用者Cさんが嫌がっているのにおせっかい?をしようとしていたから止めようとしたら、反論された。(実は正義感・・)

②「いきなりスタッフを呼びつけ怒鳴って説教を始める。」
怒った理由 座っている時間が長く、暇。何度かスタッフに運動がしたい等伝えるがちょっと待って~というばかりで、座って待っていても何もない。スタッフは立ち話をして笑っている。(それは腹も立つよな・・)

③「いきなり机をけり、遠くにいるスタッフに「なんなーお前は!」と怒鳴る」
怒った理由 スタッフの利用者様に対しての口の利き方が悪い。命令口調や馬鹿にした話し方をしていた。(それは失礼だな・・)

 3.アセスメントをし、対策をスタッフで共有しておく。

先ほどの方の問題行動で言えば、物を投げる、怒鳴るといった事は置いておいて、怒った理由自体はそんなに理不尽ではないなと思ってしまうのですがどうでしょうか。

  -問題行動原因への対策

①であれば、AさんからするとCさんへの優しさから出たものですが、AさんとBさんの関係性がよくなかったこともあるのかもしれません。

気が合う、気が合わない、というのは確実にありますが、同じデイに行っていても全く話す機会がないままこんな喧嘩ごとになってしまうのはもったいない。席を毎回決めて固定にしてしまうのでなく、都度変えてみる。始めてこられた方には、スタッフが今いる方との共通点をさりげなく探して会話をつなげる工夫をしてみる。(難しい・・)スタッフの話でなくて利用者様同士の会話が出来る役となれるよう動けるといいですね。

②であれば、スタッフの怠慢にみえますよね。スタッフ側からすれば「忙しい中のちょっとした合間のおしゃべり」だとしても、ずっと我慢して座って待っている身からすると腹も立つでしょう・・。

問題は「いつまで」とはっきり伝えていないこと。
実際にあまりに長いのであれば対策を考えず放置していること。

運営的にこの時間に他のことはしないと決めていて(人員的に無理とかも)出来ず、他の利用者様から本音で不満もない状態であれば、その環境で過ごしてもらうことになると思います。他の利用者様も不満が出るようなら対策を行わないといけませんが。

ただいつまで待てばいいかわからず待つほどストレスなことはないので、一言「〇時に始まりますからそれまでくつろいでいて下さい」等と一言添えるだけで、穏やかに周囲の方と話されたりくつろがれる様子がみられます。見通しが立つというのは安心してもらえるようです。

③であれば・・これは悲しいですがスタッフが失礼ですね。
他のサービス業であればお客様に対して敬語を使うと思いますが、介護ではため口が普通のことが多いですね。親しみがわくから、とかいろんな意見があると思いますが、私は自分が介護を受ける側になった時ため口で命令されたら・・嫌だな~~。

人は自分より能力が低いと思うと見下してしまうという本能が備わっているそうで。自分ではそう思っていないと思っても無意識化ではそう思っていると自覚しないといけないと言われています。特に介護では介助が必要な方を対応しているので、肉体的にも認知的にも助ける側の役なので、「人は自分より能力の低い人を本能的に見下す」と思って行動する必要はあると思います。完璧な敬語でなくても敬意をもって話、対応をしているかは気を付けていきたい。


問題ありと言われる利用者様を受け入れる施設のメリット

ケアマネージャーさんは大変だなとつくづく頭が下がります。問題ありと言われる利用者様を受け入れるのは、施設の見直しにも利点はあると思っています。

利点①施設のやり方を全員で見返すことが出来る。
問題利用者、と最初からの情報があるため対策を打っておくことで情報がなく徐々に問題が出てくる利用者様より対応が共有しやすい。ここは外せないという施設の運営方法を再確認できる場も持てる。

利点②効率の良い方法が生まれることがある。
問題利用者、と言われる方は、高次機能障害等周囲の状況を見ることが出来ずといった方はまた別の対応がいりますが、そうでない場合、そんなに理不尽な怒りではないことが多いようにも思います。

介護施設では皆さん少しこれは…と思う事でも我慢されることが多いので、施設への要求を直に言われる事で問題に気付けることもあります。対策を考えることで逆にスタッフ間のコミュニケーションが取れて段取りがよくなったり、いらない仕事を削れることも。




そうはいっても・・

どうしても散歩に行きたいとこっそりと散歩に出られてしまって帰れなくなってしまう方だったり、気が短く他の利用者様を叩いたり物にあたったり、とすでに対応しづらい方がいて、日々の日常業務の忙しさの上にさらに対応を考える時間なんてない、スタッフの協力が得られない、となると難しいですね。利用者様も居心地がよくてスタッフも働きやすい環境にしていくには仕組みって大切だな~~と思います。

ちなみに デイのコンサルをされている方によると新しく開設する施設の空気は最初の利用者さんとスタッフの対応で決まってくるそうです。一人がボスのような空気を作ってしまうか、最初の方が後から入る方を助けてくれる存在になるかはスタッフの対応次第だそうで。動きの習慣は6か月後位にでるのでその頃にはそのデイでしている対応がよくわかるそうです。現状のデイの仕組みを変えていこうとした場合、一気には変わらないので変わるまで時間がかかり、2年で実感が得られるのが平均。本気で変えようと動いて4年たっても変わらないなら残念ながらあきらめてその場から離れたほうが身のため・・だそうです。

大変そう・・と思ったときも出来る小さなことからコツコツと。一息いれる心の余裕大事ですね。






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