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【毎週ショートショートnote】亭主元気で留守がいい・彦星誘拐


 「あと少しで今年の逢瀬も終わりね。私、いい事考えたんだけど」

 織姫が上目遣いで彦星に言う。

 「いい事って?」
 「彦ちゃん、誘拐された事にして二人でどっか行こうよ!月に住むのもいいんじゃない?」

 彦星が返事をするのも待たずに織姫はさっさと荷造りをはじめ、潜りの宇宙船を手配した。一応、彦星の家には誘拐した旨の封書を無記名で送っておいた。

 月のリゾートホテルは一戸ごとのコテージになっており、内装も豪華だ。ウエルカムドリンクを飲みながら、織姫も彦星もこれから始まる新しい暮らしに胸を躍らせた。

 ところが、そんな楽しい暮らしも長く続かない。

 いつまでもホテルには居られないので、安い平屋に移ったものの彦星はぐうたらしてばかりで全く働こうとしない。機を織りながら織姫は彦星をなじる。

 「彦ちゃん!あんたちょっとは働きなさいよ!ただ飯食ってんじゃないわよ!」

 彦星はお尻を掻きながら面倒そうに
「織ちゃんが働いてるからいいじゃん。楽しく暮らすのが一番だよ」
とぬかすのだった。

 織姫は(そうだった。彦ちゃんは働くのが嫌いでサボってばかりだから、私達は離れさせられたんだったわ。くそー、もうこんな亭主いらない!追い出してやる)と思うのだった。

 翌朝、なけなしのお金で潜りの宇宙船を手配すると、有無を言わさず彦星を放り込んだ。

 織姫は宇宙船を見送りながら、晴れやかな笑顔で手を振った。

 「誘拐は無しね!彦ちゃん、また来年会おうね。ああ、やっぱ亭主元気で留守がいいって金言だわw」


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今週のお題は「彦星誘拐」です。


このお題で何書こうか考えていて、いきなり思い出しちゃったんです!

このCMめっちゃ笑ったなぁー。懐かしいw
今なら、こんなの作れないでしょうね。



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